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職域におけるがん検診マニュアル

No.4973 (2019年08月17日発行) P.57

佐藤博貴 (名古屋市立大学環境労働衛生学)

上島通浩 (名古屋市立大学環境労働衛生学教授)

登録日: 2019-08-20

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【がん検診のあり方について産業医の考え方が重要となる】

2018(平成30)年3月,厚生労働省より「職域におけるがん検診に関するマニュアル」が公開された。対象は胃癌,子宮頸癌,肺癌,乳癌および大腸癌の5種類であり,それぞれの検査項目・対象年齢・受診間隔が示されている。

そもそもがん検診は,労働安全衛生法で規定される定期健康診断と異なり,強制力のない任意型検診として職域で取り扱われてきた経緯がある。一方,年間86万人の新規がん罹患者のうち約30%が労働年齢層(20~64歳)と推計されており,喫煙や飲酒などの生活習慣改善や感染症対策によるがんリスクの減少に加え,職域でのがん検診の重要性が指摘されている。会社の福利厚生施策や健康保険組合の保健事業という側面が強い職域のがん検診について,要配慮個人情報に留意しつつ,受診率や精査率の向上と精度管理を効果的に行うための議論が必要である。

がん検診の結果確認や事後措置について,どこまでを産業医の職務として考えるべきかの見解は定まっていない。しかし,「がん」という病気やがん検診の意義について理解を深めるよう労働者へ情報提供や教育を行うことは,その法的根拠の有無にかかわらず重要である。がん治療と職業生活の両立支援としての風土づくりを含め,産業医が存在感を示す時である。

【参考】

▶ 厚生労働省:職域におけるがん検診に関するマニュアル, 2018.
[https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10 901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000204422.pdf]

【解説】

佐藤博貴,上島通浩 名古屋市立大学環境労働衛生学 *教授

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