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■NEWS 何でも“治療薬”と呼ぶ現状は「不適切」―日医・横倉会長、「効能に応じた呼び分けを」

No.4920 (2018年08月11日発行) P.20

登録日: 2018-08-02

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日本医師会の横倉義武会長は1日の会見で、全ての医薬品を一律に「治療薬」と呼ぶ現状について、「不適切ではないかと思う」と表明した。医師が患者に処方薬の説明をする際には、対象疾患や効能に応じて「進行抑制薬」「軽度改善薬」などと呼び分けるべきとした。

会見で横倉氏は、治癒を目的としない薬剤を治療薬と説明することで「服用すれば治癒する」という誤解を与えやすくなると指摘。医師が患者に説明する際の目安となる薬剤の「区分」については、医薬品の承認を申請する製薬企業と審査する厚生労働省が効能に応じた“役割”(区分名)を決めることが望ましいとした。

今回の横倉氏の発言には、フランス保健省がアルツハイマー型認知症(AD)に用いられる4種類の薬剤(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン、メマンチン)の保険償還を8月から停止する決定を下したことが背景にある。4剤については、同国の医薬品の費用対効果評価を担う専門機関が2016年に、医療上の有用性が低く「保険償還を正当化するだけの利益が不十分」と評価。保健省の決定はこの評価に基づくもので、「市民の健康のための措置」としている。

フランスの決定に関して横倉氏は「疾患の進行を遅らせる薬にも意義がある」と強調。治癒に至らないことを理由に保険適用を外せば「かえって患者さんにとって不幸な結果を生み出す」と述べ、日本の医療費削減の議論へ安易に利用されないよう牽制した。

「治療という語句のうち『治す』面ばかり強調されるが、『療』(癒す)も医療の一環」と話す横倉氏

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