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産業ストレスと心療内科【ストレスチェック制度への期待と今後の課題】

No.4914 (2018年06月30日発行) P.55

石川俊男 (国立国際医療研究センター国府台病院心療内科特任部長)

登録日: 2018-06-28

最終更新日: 2018-11-28

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この分野でのトピックスは何と言っても,2015年にスタートした改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度である。これは労働者のメンタルヘルス不調の未然防止をめざした一次予防である。労働者の気づきを促すことや,ストレスの原因となる職場環境の改善につなげることも目的になっている。50名以上の従業員のいる職場は,義務としてストレスチェックを行わなければいけない,世界にも例のない制度である。現在3年目に入っており,かなりの企業や職場で実践されているようである。しかし,高ストレス者の取り扱いに問題があり,積極的な予防法と言うには,さらなる制度の改善が必要かもしれない。メンタルヘルス不調の予防策として発展していってもらいたいものである。本制度は,精神疾患による労災認定の増加に関する問題の解決や過労死,自殺者の軽減をめざすと同時に,政府の掲げるワークライフバランスに配慮した,充実した働き方の実践をめざしたアプローチである。

その一方で,電子化した産業現場では新たなメンタルヘルスの問題が抽出されてきている。各企業において,これらの要因に関連した心理・精神指標の科学的解明や,その活用による職場の活性化をめざした取り組みが様々な角度から検討され,実践段階に入っている。特に,ワーク・エンゲイジメント,レジリエンス,サーバントリーダーシップ1)などについてはその実践,応用が始まっている。

【文献】

1) 島津明人:産業ストレス研. 2016;23(3):181-6.

【解説】

石川俊男 国立国際医療研究センター国府台病院心療内科特任部長

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