編著: | 室 圭(愛知県がんセンター中央病院薬物療法部長/外来化学療法センター長) |
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判型: | B5判 |
頁数: | 418頁 |
装丁: | 2色刷 |
発行日: | 2016年11月19日 |
ISBN: | 978-4-7849-5489-6 |
版数: | 第3版 |
付録: | - |
●2016年10月時点までの知見を全編に反映。新薬や適応拡大も多く、動きの速いがん化学療法領域の知識をアップデートできます!
●レジメン・有害事象・Q&Aの3部構成。
●「レジメン編」では59の汎用レジメンを網羅し、簡潔に紹介。全レジメンにイメージのつく症例を収載しています。神経内分泌腫瘍(NET)などまだ解説書の少ないがんについても詳述。
●治療継続のネックになる「有害事象」についても、最新のエビデンスに基づき解説しています。
●「Q&A編」では,まだ結論が出ていない問題にも、治療経験豊富な執筆陣が現時点でのベストチョイスを提示しています。
●数多くの臨床試験結果を第一線のオンコロジストが評価・厳選して解説しているので、効率良く最新情報が学べます。
【レジメン+症例】
● 食道がん
1:CDDP+5-FU〔FP療法〕
2:ネダプラチン+5-FU
3:DOC
4:weekly PTX
5:CDDP+5-FU+放射線照射
6:ネダプラチン+5-FU+放射線照射
7:DOC+放射線照射
● 胃がん
8:S-1(TS-1)
9:S-1(TS-1)+CDDP
10:IRI+CDDP(biweekly)
11:5-FU+ℓ-LV
12:weekly PTX
13:weekly PTX+ラムシルマブ/ラムシルマブ単独
14:nab-PTX
15:DOC
16:IRI
17:DOC+CDDP+S-1(TS-1)〔DCS;北里KDOGレジメン〕
18:トラスツズマブ+XP療法
19:SOX/CapeOX
● 大腸がん
20:mFOLFOX6
21:mFOLFOX6+ベバシズマブ
22:mFOLFOX6+セツキシマブ
23:mFOLFOX6+パニツムマブ
24:CapeOX
25:CapeOX+ベバシズマブ
26:カペシタビン+ベバシズマブ
27:SOX+ベバシズマブ
28:FOLFIRI
29:FOLFIRI+ベバシズマブ
30:FOLFIRI+ラムシルマブ
31:FOLFIRI+セツキシマブ
32:FOLFIRI+パニツムマブ
33:FOLFOXIRI
34:FOLFOXIRI+ベバシズマブ
35:sLV5FU2
36:sLV5FU2+ベバシズマブ
37:IRI
38:IRI+セツキシマブ
39:IRI+パニツムマブ
40:セツキシマブ
41:パニツムマブ
42:UFT+LV
43:IRI+S-1(TS-1)〔IRIS療法〕
44:レゴラフェニブ
45:トリフルリジン・チピラシル塩酸塩
● 膵がん
46:GEM
47:GEM+nab-PTX
48:S-1(TS-1)
49:S-1(TS-1)+放射線照射
50:FOLFIRINOX
● 胆管がん
51:GEM+CDDP
● 肝臓がん
52:ソラフェニブ
● GIST
53:イマチニブ
54:スニチニブ
55:レゴラフェニブ
● NET
56:エベロリムス
57:ストレプトゾシン
58:スニチニブ
59:オクトレオチド
【有害事象】
1:白血球減少
2:貧 血
3:血小板減少
4:悪心・嘔吐
5:口腔粘膜炎
6:食道炎
7:下 痢
8:全身倦怠感
9:感染症
10:皮膚障害
11:手足皮膚反応
12:末梢神経障害
13:電解質異常
14:肝機能障害
15:腎機能障害
16:間質性肺炎
17:心機能低下
18:アレルギー反応
19:注入に伴う反応(インフュージョンリアクション)
20:血管外漏出
21:ベバシズマブ特有の副作用
22:S-1による眼症状
23:放射線治療による晩期有害事象
【Q&A】
● 全 般
Question 1:高度肥満患者の抗がん剤用量をどう決めるか?
Question 2:シスプラチンを含んだレジメンにおける腎障害軽減のための補液量・前投薬などは?
Question 3:抗EGFR抗体薬使用時の低マグネシウム血症のマネジメントは?
Question 4:根治的化学放射線療法施行後の食道がんに対し,追加化学療法を行うべきか?
Question 5:進行胃がんでパクリタキセル不応後のドセタキセル,またはドセタキセル不応後のパクリタキセル投与は意味があるのか?
Question 6:進行大腸がんにおいて一次治療で抗EGFR抗体薬使用が選択される事例としては,どのような場合があるか?
Question 7:アプレピタントの3日間服用で遅発性嘔吐抑制が不十分な患者に,同剤5日間内服は意義があるか?
Question 8:イリノテカン使用前のUGT1A1測定にはどれほどの意義があるのか?
Question 9:HBVキャリアにおける化学療法の適切なやり方は?
Question 10:アジュバントでのL-OHPと経口フッ化ピリミジンの使い分けは?
Question 11:オキサリプラチンを末梢投与する際の血管痛対策で有効なものは何か?
● 化学療法
Question 12:高度黄疸例における抗がん剤の減量の必要性は?
Question 13:抗EGFR抗体薬の投与に際し,皮膚障害対策の予防投与はどこまで必要か?
● 支持療法
Question 14:神経障害の診断基準,予防薬・対症療法薬は何が推奨されるか?
Question 15:骨転移例の支持療法の適応はどのように考えるか(ゾレドロン酸水和物,放射線治療,アイソトープ治療など)?
Question 16:抗がん剤と麻薬(オピオイド鎮痛薬)の併用は可能か?またどのような点に注意が必要か?
● 大腸がん
Question 17:切除不能肝転移を有するが肝切除(conversion)を狙える大腸がんに対する最適レジメンは何か?
Question 18:切除可能肝転移を有する大腸がんで術前補助化学療法(NAC)を行う場合の最適レジメンは何か?
Question 19:ベバシズマブを含む化学療法中に観血的処置を行う場合の休薬の目安は?
Question 20:肛門管がんと虫垂がんは特別な治療が必要か?
Question 21:抗EGFR抗体薬の使い分けはどのように考えるべきか?
Question 22:切除不能大腸がん肝転移の化学療法後に肝切除(conversion)できるのはどのような症例か?
Question 23:二次治療においてFOLFIRI+ベバシズマブとFOLFIRI+ラムシルマブをどう使い分けるか?
Question 24:レゴラフェニブとトリフルリジン・チピラシル塩酸塩はどう使い分けるか?
● 胃がん
Question 25:S-1+シスプラチン療法のシスプラチンの投与日はなぜDay 8なのか?
Question 26:術後補助化学療法でのS-1内服は,4投2休と2投1休で効果に差があるか?
Question 27:化学療法後に縮小した進行胃がんの切除(conversion)は意義があるのか?
Question 28:人工肛門造設例でのS-1,カペシタビンの投与はreasonableか?
Question 29:標的病変のない進行胃がんの診断および評価方法は?
Question 30:胃がん診断時にH. pylori陽性の場合,除菌は意味があるのか?
Question 31:術後補助化学療法として,S-1とCapeOX(XELOX)はどちらがよいか?
Question 32:トラスツズマブの二次治療以降の使用方法,意義や考え方は?
● 食道がん
Question 33:食道胃接合部がんの治療戦略は?
Question 34:海外と日本で治療法・治療成績に差があるのはなぜか?
Question 35:術前化学療法と術前化学放射線療法は効果・安全性の面からどちらがよいか?
● NET
Question 36:消化管原発NETに対する治療はどのようにすべきか?
索 引
第3版 序
2012年第1版,2014年第2版と順調に版を重ねている本書は,このたび,大幅な改訂を施して第3版として出版することとなった。これもひとえに,本書が臨床の現場で非常に多くの方に利用され,高い評価を得てきた証しであろう。読者として本書のご支持をいただいているメディカルスタッフの皆様,豊富な臨床経験やup-to-dateな情報,確かなエビデンスに基づいて明確に記載頂いた優秀な執筆者たちに深く御礼申し上げたい。そして,当方の怠慢でいつもぎりぎりのタイムラインで慌てさせてしまっている日本医事新報社の皆様に,この場を借りて,深くお詫びするとともに御礼申し上げたい。
この2年の期間に,新規承認薬や適応拡大のためレジメンがさらに増え,消化器がんの化学療法はますます複雑になってきている。消化器がんの専門家であっても,用法・用量,投与スケジュール,効果や有害事象の詳細な情報など,すべてを把握することがとても難しくなってきているのが現状である。ましてや,経験の浅い研修医や若い医師,医療スタッフが,投与スケジュールはもとより,支持療法や起こりやすい副作用やその時期,減量・休薬・再開のタイミングや方法など,すべてを理解し把握することなど至難の業である。
本書はそのような人たちにもわかりやすく,かつ興味深く読み込める入門書である。また,同時に,ベテランの域に達するメディカルスタッフにとっても新しく確かな情報が満載で,さらに知識を高め,消化器がん治療の理解を深める専門書でもある。さらに,病棟や外来の臨床現場で役に立つ実用書でもある。
本書の編集作業は,仕事に忙殺され日々すさんだ生活を送っている自分にとって,新鮮でもあり,自身が20年来取り組んできた消化器がん治療の進歩を実感する良いきっかけともなり,忙しさに拍車をかけさせられたものの大変楽しい作業であった。
人生意気に感ず,まさにそれを実感できた日々であった。このような仕事を与えて頂いたすべての人に感謝申し上げたい。
2016年10月 愛知県がんセンター中央病院薬物療法部長/外来化学療法センター長 室 圭
下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。