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転倒予防白書2019

転倒予防学会公式テキスト、150頁増の大改訂!

定価:6,050円
(本体5,500円+税)

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監修: 日本転倒予防学会
編集: 武藤芳照(東京健康リハビリテーション総合研究所 所長)
編集: 鈴木みずえ(浜松医科大学臨床看護学講座 教授)
編集: 原田 敦(国立長寿医療研究センター 整形外科)
判型: B5判
頁数: 408頁
装丁: 2色刷
発行日: 2019年10月10日
ISBN: 978-4-7849-6169-6
版数: 第1版
付録: -
  • 転倒予防の専門家によって結成された「日本転倒予防学会」による初の公式テキスト、150頁増の大改訂!
  • 2016年版以降に蓄積されたエビデンスのみならず、ロボット、人工知能(AI)、多剤併用などの動向を踏まえ、多職種・多領域による転倒予防の最新知識を反映させました。
  • 転倒・転落に関する統計、疫学、各種取り組み、資格・試験などの制度面から、患者指導、施設整備、リスク評価、運動療法などの臨床面までを網羅しています。
  • 医師、看護師、理学・作業療法士から介護職員まで、高齢者の医療・福祉・リハビリ・介護にかかわるすべての人、必携の一冊です。

目次

1 転倒に関わる最新の統計
2 日本転倒予防学会学術集会の動向
3 日本転倒予防学会誌の特徴と動向:5年間の軌跡
4 国内外の転倒予防に関わる学術研究の動向
5 転倒・骨折予防の動向
6 転倒予防に関わるソフト(ケア,人材育成,転倒リスクマネジメント)の開発の動向
7 転倒予防に関わる工学系開発の動向
8 「転倒予防」に関連する資格制度
9 日本転倒予防学会推奨品の動向
10 転倒予防川柳
11 転倒・骨折と薬剤(多剤併用,睡眠薬,抗精神薬など)
12 転倒・転落アセスメントの動向
13 転倒を予測する身体機能評価の動向
14 急性期病院における転倒対策とリスクマネジメント
15 医療安全における転倒リスクマネジメント
16 転倒予防と身体拘束
17 転倒予防のための杖・歩行補助具
18 認知症高齢者の転倒予防の動向
19 転倒予防に関する多職種連携アプローチ
20 転倒予防に関する地域ケアシステムの動向
21 地域における転倒予防研究会の動向
22 二次骨折予防の動向
23 国際的な転倒予防ガイドラインの動向
24 世界の高齢者の骨折治療・予防ガイドラインに関する動向
25 WHO による転倒予防戦略と現在のエビデンス
26 フレイル,サルコペニア,ロコモティブ・シンドロームおよび栄養に関わる転倒予防
27 医療情報システムと人工知能における転倒予防
28 転倒事故に関連した法律的側面
29 転倒予防に関する雑誌の特集,図書等の動向

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序文

転倒は,直立二足歩行をしている私たち人間にとって避けることができない宿命的な日常的出来事です。歩き始めた子どもは転倒を繰り返しながら歩行を覚えていきます。乳幼児では,頭が大きく,また運動機能が未発達なためにバランスを崩して転倒しやすく,学童期でも運動・スポーツ中や自転車乗車中などの転倒がみられ,骨・関節障害を起こしやすく,大きな課題となっています。また高齢者では,それまでさまざまなかたちで保たれていた心身機能のバランスが崩れ,直立二足歩行機能が低下することにより移動動作が困難となり,転倒につながります。それだけではなく,高齢者の転倒は心身機能全体の低下やフレイルの状況を示し,高齢者の要介護・寝たきり状況を引き起こします。

わが国は超高齢社会にありますが,転倒予防は健康寿命延伸,ひいては自立高齢者の多い,真の意味での健康長寿社会の実現に結びつきます。入院・施設入所の高齢者の増大,認知症高齢者の増大などから,病院・施設での転倒事例が増加しています。特に病院や施設で高齢者が転倒を起こして骨折や頭部外傷をきたすと,その後の生命予後にも影響することから,医療安全管理の観点からは,転倒は医療の質に関する重要な有害事象として扱われ,転倒・転落アセスメントツールを用いたリスクマネジメントなど,さまざまな取り組みがなされています。

近年,フレイル・ロコモティブシンドローム・サルコペニアといった高齢者医療に関わる専門用語が一般的にもしばしば使われるようになりましたが,心身の脆弱化による運動機能面でのフレイル,運動器の障害により移動機能の低下をきたすロコモティブシンドローム,筋肉量の減少に起因した筋力の低下であるサルコペニアと,どれも転倒と深く関連しています。今後,これらの病態と原因の解明が進むことで転倒のさらなる予防が期待されています。

さらに,超高齢社会における高齢者のエンドオブライフにおける医療・ケア行為に対する意思決定プロセスとして,ACP(Advance Care Planning)の重要性が指摘されています。高齢者のより良い生活の質の実現のために,意思決定プロセスに沿った,個々の高齢者独自の転倒予防についても討議する必要があります。

転倒にはさまざまな要因が絡んでいますが,認知症やせん妄など複雑な背景を持つ高齢者が多くなっている現代では,多職種・多領域による転倒の原因の根本的な解決に沿った転倒予防対策と,効果的な連携や協働に基づいた安全管理システムが必要です。転倒予防には保健・医療・福祉職だけではなく,工学・法律・運動・スポーツなどさまざまな分野の専門的な知識・技術・経験の融合が必須であり,それらの専門家が集結し,2014年に日本転倒予防学会が創設されました。

本学会では転倒予防に関わる現状分析と将来展望を提示するために『転倒予防白書2016』を上梓しました。この白書は,日本転倒予防学会が中心となり,そこで活躍している多領域の専門家がエビデンスを凝縮し,最新の知見・情報・データを収集・整理し,今後の転倒予防の動向や方向性を示そうと編集されたものです。転倒予防の研究者は勿論のこと,病院の安全管理者,リスクマネジャー,さらには地域・病院・施設における転倒予防の実践者に有用な知識が体系化されています。その改訂版である本書『転倒予防白書2019』は,従来の課題に関する最新のエビデンスだけではなく,ロボット,人口知能(AI),多剤併用などの最新の動向を踏まえ,多職種・多領域による転倒予防の最新知識を凝縮させた画期的な書籍となりました。

本書を転倒予防に関わる皆様に手にとって頂き,活用頂ければ,編者・著者一同このうえない喜びです。本書執筆に関してご協力頂きました方々,日本医事新報社の鳥居丈裕氏に深く感謝申し上げます。

2019 年10 月
武藤芳照 東京健康リハビリテーション総合研究所 所長/東京大学 名誉教授
鈴木みずえ 浜松医科大学臨床看護学講座 教授
原田 敦 国立長寿医療研究センター 整形外科

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正誤情報

下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。

・ 217ページ 文献

〈誤〉「3) 奥泉宏康. 日本転倒予防学会2016年度転倒予防指導士基礎講習会講義テキスト.」→〈正〉「3) 川村治子. 日本転倒予防学会2016年度転倒予防指導士基礎講習会講義テキスト.」

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