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インフルエンザ診療ガイド2018-19【電子版付き】

定番書籍の2018-19シーズン版出来! 新薬バロキサビル マルボキシルの解説も充実しています

定価:3,780円
(本体3,500円+税)

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編著: 菅谷憲夫(神奈川県警友会けいゆう病院小児科/感染制御,慶應義塾大学医学部客員教授)
判型: B5判
頁数: 242頁
装丁: 2色刷
発行日: 2018年10月11日
ISBN: 978-4-7849-5479-7
版数: 第1版
付録: 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます)

■インフルエンザは、各科どこでも遭遇しうるコモンディジーズ。てっとり早く毎年の知識をupdateしたい方にオススメです。

■新薬バロキサビル マルボキシルについても効果・副作用・耐性などを詳説。今シーズンの処方前にご一読下さい。

■今年はスペイン風邪から100年。地域の講演会を頼まれたときなどにちょっと使える話もコラムに盛り込みました

診療科: 内科 感染症

目次

■chapter■■■

chap. 1 インフルエンザ総論
A. これからのインフルエンザ対策
B. ウイルス学的知見

コラム 1 日本軍におけるスペインかぜの考察から

chap. 2 鳥インフルエンザ
A.H7N9の診断と治療
B.H7N9およびその他の亜型ウイルス

コラム 2 H7N9のパンデミックの可能性

chap. 3 予防・治療
A.小 児
B.成人・高齢者
C.妊 婦
D.高齢者施設における感染予防

chap. 4 検査・診断

chap. 5 脳症の診断・治療

chap. 6 インフルエンザ治療薬

chap. 7 ノイラミニダーゼ阻害薬の耐性

chap. 8 インフルエンザワクチンの効果,有効性
A.インフルエンザワクチンの有効性
B.インフルエンザワクチンの内科での効果

chap. 9 医療関係者のインフルエンザ対策


■Q&A■■■

Q01 抗インフルエンザ薬を投与した場合のウイルス排出期間はどのくらいですか?
Q02 発症後,12時間以内の感度は低いので,検査まで12時間以上待つべきでしょうか?
Q03 オセルタミビル・ペラミビル耐性インフルエンザの状況と対処法は?
Q04 微熱,あるいは無熱のインフルエンザ患者の頻度は?
Q05 気管支喘息患者がインフルエンザに罹患した場合のステロイド吸入・内服投与は?
Q06 血液腫瘍患者,HIV患者など免疫の低下している場合のインフルエンザワクチンの効果は?
Q07 透析患者のインフルエンザ対策はどのようにすべきですか?
Q08 マスク・手洗い・うがい,室内空気を対象とした種々の電気製品のインフルエンザ予防効果は?
Q09 インフルエンザの出席停止基準・期間と,学級閉鎖の判断はどのようにすべきですか?
Q10 CPT-Ⅱ(carnitinepalmitoyltransferaseⅡ)遺伝子多型とインフルエンザ脳症の関係とは?
Q11 インフルエンザの漢方治療の有効性は?
Q12 沖縄でのインフルエンザ流行の特徴は?
Q13 院内感染防止対策として,オセルタミビルの治療量を予防として使用するのはどうでしょうか?
Q14 まだワクチンを接種していないうちに,A(もしくはB)型インフルエンザ罹患後にB(もしくはA)型インフルエンザワクチン接種を行うタイミングは?また,小児で2回目の接種を受ける前にA(もしくはB)型インフルエンザに罹患したときにはどうすればよいでしょうか?
Q15 インフルエンザの発症早期に治療開始した場合,迅速診断キットが陽性にならないことはありますか?


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序文

今シーズンはA香港(H3N2)の流行が予測されるが,A香港(H3N2)に対するワクチン効果は低く,高齢者,ハイリスク患者では注意が必要である。同時に,ワクチン接種を受けた健康成人間でも流行が多発するので,院内感染対策が重要となるシーズンでもある。

パンデミックを起こす危険が高いと心配されたH7N9は,中国でのニワトリへのワクチン接種により,ヒトへの感染が減り患者数が激減した。また,H5N1患者数増加は止まっている。依然として警戒は必要であるが,H5N1とH7N9については制圧に向かっている。

バロキサビル マルボキシルの登場
キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬(cap-dependent endonuclease inhibitor),バロキサビル マルボキシル(ゾフルーザ)が2018年3月に発売となった。本格的に使用されるのは,この冬の流行からとなる。バロキサビルは,ノイラミニダーゼ(NA)阻害薬とは作用機序が異なるため,NA阻害薬耐性ウイルスが出現したときにも有効である。
内服薬であり単回投与のため,患者にとっては便利で,医師から見ればコンプライアンスが優れるということになる。A型・B型いずれのインフルエンザにも有効である。成人では,オセルタミビルとの比較試験も実施されている。臨床効果に差はないが,抗ウイルス作用はバロキサビルが高い。小児も成人も,現時点では特に副作用は認められていない。
オセルタミビルの治療ではウイルス感染価はあまり低下しないので,治療翌日でも迅速診断で陽性と出るが,バロキサビル治療では感染価は大幅に低下し,翌日には多くの場合陰性化すると思われる。もしも,バロキサビルの内服により感染性の消失が早期に得られるのであれば,現在よりも早期に登校したり,出勤したりすることが可能となるかもしれない。
問題は,バロキサビルで治療した患者から採取されたインフルエンザウイルスでアミノ酸変異の出現率が高いことで,これが耐性ウイルスとして臨床効果に影響するかという点である。

迅速診断の重要性と感度の問題
最近,インフルエンザは臨床的に診断でき,迅速診断は必要ないという意見が雑誌などで散見される。インフルエンザ流行のピークであれば,高熱を伴うインフルエンザ様疾患は,かなりの確率でインフルエンザウイルス感染症であろう。しかし,それは迅速診断キットが広く普及しているからこその話である。インフルエンザの診断は容易ではない。「迅速診断は必要ない」というのは,自由に迅速診断キットが使える日本の医者の驕りにすぎないと思う。
筆者は,日本で初めてDirectigenTM Flu Aを輸入し,当時勤務していた日本鋼管病院の小児科外来で使用した。発熱患者をその場でインフルエンザと診断したが,その感激は今でも忘れられない。それまでは,2週間をあけてペア血清を採取し抗体上昇を見るしか臨床医には診断方法はなく,外来では,どの患者がインフルエンザか専門家である筆者でもわからなかった。
インフルエンザの迅速診断を軽視する理由のひとつは,インフルエンザの迅速診断の感度が低いという点にあるが,筆者は日本での経験では少なくとも80〜90%程度の感度はある旨,インフルエンザ治療の国際会議にて主張した。詳細は本書26頁〜を参照されたいが,迅速診断キットの感度が60%という,一部で流布した情報は誤りである。これは米国製の迅速診断キットの話で,しかも検体採取時期が記載されていないデータである。日本製の迅速診断キットで48時間以内に検体を採取すれば,RT-PCRに近い感度が期待できる。

2018年9月 菅谷憲夫

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