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カラー図解 人体の正常構造と機能 第1巻 呼吸器〈第3版〉

高度な内容をやさしく学べる画期的な教科書

定価:6,264円
(本体5,800円+税)

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著: 牛木辰男(新潟大学教授)
小林弘祐(北里大学教授)
判型: A4変型判
頁数: 96頁
装丁: カラー
発行日: 2017年02月25日
ISBN: 978-4-7849-3218-4
版数: 第3版
付録: -

シリーズ累計20万部突破! 待望の改訂版

人体の構造と機能を臓器別全10巻に編集したシリーズ。解剖学・生理学の高度な内容をやさしく学べる教科書として評判を呼び、シリーズ総発行部数は20万部にのぼります。第3版は、最新の知見に基づいて内容を更新するとともに、さらに読みやすく、わかりやすい教科書をめざしました。

◆図解を中心とした構成  フルカラーの図解を中心に構成したビジュアルな紙面。どの教科書よりも図が豊富でわかりやすいとの評価をいただいています。
◆見開き完結  ひとつのテーマが見開きで完結するよう編集。重要事項をコンパクトにまとめてあり、読みやすく理解しやすい。
◆解剖・組織・生理の連携  図解に沿ってマクロ・ミクロの構造を学び、その構造がどのような機能を果たしているのか、そしてその構造や機能を支えている物質は何かを、順を追って学習できるよう構成しました。読み進めていくうちに、各臓器の構造と機能のつながりが実感できます。

目次

呼吸器系の概観
酸素は体内に貯蔵できないので,絶えず供給し続けなければならない

鼻 腔
鼻腔は8つの骨と軟骨で囲まれている
鼻腔は鼻中隔と鼻甲介で仕切られ,粘膜が発達している
4つの副鼻腔が鼻腔に開口している

喉 頭
多くの軟骨が靱帯・筋で連結され,喉頭を形づくる
6種の内喉頭筋が軟骨を動かすことにより,発声を調節する

気管・気管支
気管(支)は2分岐を繰り返しつつ次第に細くなり,肺胞に至る
気管支の枝はそれぞれ一定の領域に分布して,肺葉と肺区域を形づくる
気道内腔を覆う粘液は,線毛の働きで口側へ向かって流れている

呼吸器系の発生
下気道は食道と同じく前腸に由来する
肺の発生過程は,外分泌腺の発生過程によく似ている

肺胞とガス交換
肺胞の総表面積はテニスコートの半分ほどの広さを持つ
肺胞上皮はきわめて薄く,ここをガスが拡散してゆく
血管内皮細胞と肺胞上皮細胞を隔てて,血液と空気が出会う
表面活性物質が肺胞を虚脱から守る
肺胞でのガス交換は拡散による

換気と血流
ガス交換の効率は,換気と血流のバランスによって決まる
重力などのために換気・血流比の不均等が生じる
低酸素血症の原因は低換気,拡散障害,シャント,換気・血流比不均等分布

血液によるガス運搬
ヘモグロビン1分子は酸素4分子と結合できる
血液のpH低下やCO2増加はヘモグロビンから酸素を離れやすくする
CO2の大部分は血漿HCO3-またはカルバミノ化合物として運搬される

呼吸による酸塩基調節
肺からのCO2排出は酸塩基平衡にとって重要である
代謝に伴う酸塩基平衡の異常は呼吸により速やかに代償される

肺循環
肺の機能血管は肺動脈,栄養血管は気管支動脈である
肺循環は広大な毛細血管床を持つ低圧系である
肺の間質に出た水はリンパ管を通って排液される

肺と呼吸運動
呼吸運動は肺の大きさを変える
肺は胸郭の中で,縦隔を除くすべてのスペースを占めている
肺の内側面は多くの構造物に接している
胸膜は肺表面と胸郭内面とを覆う閉じた袋で,内部は常に陰圧である
横隔膜は胸腔と腹腔を隔てるドーム状の横紋筋である
呼吸運動は,胸郭の変形と横隔膜の移動による
呼吸運動の中枢は脳幹にある
化学受容器が動脈血のガス分圧を監視し,呼吸を調節する

肺気量と呼吸の力学
安静時の一回換気量は0.5リットル程度であるが,肺活量は7〜9倍の予備を持つ
肺気量分画は圧-量曲線と呼吸筋の筋力とから決まる
努力呼吸では呼出時の気道抵抗が増大する

肺の代謝機能と防御機構
肺は代謝と感染防御にも重要な役割を果たしている

[基礎知識]
線毛運動
呼吸生理学の用語と方程式

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序文

 「息をする」の「息」は,「生きる」の「生き」と同じ語源だという。英語のspirits(精神・霊)も,「呼吸」という意味のラテン語spiritusからきたものである。今風に気取って呼吸がvital signの1つだなどと言わなくても,古代からずっと,息をすることは生きていることの証であったわけである。
 太古の昔,植物細胞が排出した酸素が大気中に充満し始め,やがて酸素を利用できる細菌(ミトコンドリアの祖先)が酸素を利用できない細胞の内部に共生し,嫌気性の「発酵」から好気性の「呼吸」により飛躍的に細胞エネルギーが増加し,多細胞生物が進化した。しかし,多細胞生物を成り立たせるためには,水に溶けにくい酸素を環境から取り入れて細胞に運ぶ必要があり,そのために多様な仕組みができあがった。
 肺は,生物が陸に上がったときに獲得した器官で,水の中にすむ魚は鰓で呼吸をしている。魚の鰓は,水に溶けた酸素を吸収するのには適していたが,空気中の酸素を取り入れるのには表面張力が働き構造的に適していなかった。そこで,カエルのような両生類が出現したときに,食道の一部が肺になったのである。カエルの肺は風船のように中が空っぽの構造をしているが,われわれの肺は効率よくガス交換を行うために細かく仕切られており,テニスコートの半分ほどの表面積を折りたたんだような構造になっている。さらに,ヒトは直立するようになったために,肺の局所換気や血流,さらには種々の呼吸器疾患に重力の影響を大きく受けるようになった。
 原始の海に誕生した脊椎動物は,内臓筋に呼吸運動を委ね,延髄にpacemakerをおいた。自律運動としての呼吸リズムは,波打ち際の波のリズムを思わせる(英語でもtidal ventilationと呼ぶ)。しかし,陸上では個体運動の体壁筋で呼吸運動を行う必要から,呼吸は自律運動のみならず大脳皮質からの意志の制御も受けるようになった。古代インドでは,呼吸(Atmung)を自我(atman)の母胎とみている。こうして獲得した呼吸運動を利用して,われわれは「声」を手に入れたことも忘れてはならない。
 本書は,呼吸器系の構造と機能について多角的に解説しようとしたものである。生きる証である呼吸の仕組みの精巧さ,それを知ることの面白さ。本書を開いてくれた読者にそのメッセージが伝わることを祈っている。

牛木辰男・小林弘祐

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