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急性中耳炎

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-22
小森 学 (東京慈恵会医科大学附属第三病院耳鼻咽喉科)
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  • ■疾患メモ

    急性中耳炎は,中耳の代表的な感染性疾患の1つである。主な臨床症状は耳痛,発熱,耳漏,難聴である。

    2006年に診療ガイドラインが発刊された。現在までに2回改訂がなされ,2013年版が最新である。

    好発年齢は0~2歳で,2歳を過ぎると罹患回数は減り,7歳以降ではさらにその頻度は減少するが,どの年齢層においても生じる疾患である。

    発症時期は2峰性のピークを示し,冬期と4~5月頃に多い。

    細菌感染(肺炎球菌,インフルエンザ菌,モラクセラカタラーリスが多い)が原因と考えられてきていたが,近年では呼吸器系ウイルスによる先行する気道感染症があり,その後に続発する疾患(ウイルス感染,細菌感染,混合感染など)であると考えられている。

    臨床的には,急性単純性中耳炎,反復性中耳炎(過去6カ月以内に3回以上,12カ月以内に4回以上の急性中耳炎に罹患するもの),遷延性中耳炎(急性中耳炎と同様の鼓膜所見が3週間以上持続しつつ臨床症状を認めない状態)の3つにわける。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    診療ガイドラインでは,急性に発症した中耳の感染症で,耳痛・発熱・耳漏を伴うことがある,と定義している。

    乳児期においては,突然泣き始めた,不機嫌,耳をよく触る,ミルクの飲みが悪いなどの症状から判断することもある。

    耳痛は約70%に認められるが,耳漏は10%程度しか認められない。

    【検査所見】

    確定診断は臨床症状と鼓膜所見で行う。

    可能であれば,鼓膜所見は手術用顕微鏡や硬性内視鏡などを使用する。

    正常鼓膜は半透明で赤みがなく,光錐と呼ばれる光の反射を認める。

    急性中耳炎では,膨隆,発赤,光錐減弱,肥厚,水疱形成,混濁,穿孔,中耳腔の貯留液(黄白色膿性貯留液),耳漏,中耳粘膜浮腫などの様々な所見を認める(図1)。特に鼓膜の膨隆の有無が大切である。貯留液の程度によって空気相と液相を認めることもある。耳漏が流出している場合には病状がかなり進行していると考えてよい。

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