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がん検診の不利益に着目して指針の改正へ 厚労省検討会

No.4910 (2018年06月02日発行) P.19

登録日: 2018-05-28

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厚生労働省の「がん検診のあり方に関する検討会」は24日、がん検診の不利益に着目して、厚労省の指針を改正することを決めた。対象年齢の上限設定も論点になる見通し。

市町村が行うがん検診については、厚労省が「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」を定め、科学的根拠に基づくがん検診を推進している。

同検討会は昨年3月、がん検診の今後の論点に「対象年齢ごとの推奨度」を挙げたほか、今年3月に閣議決定された「がん対策推進基本計画」では、「がん検診の不利益についても理解を得られるように、普及啓発活動を進める」と記載された。

基本計画の閣議決定後、初めての開催となった同日の検討会で厚労省は、がん検診の不利益(検査の偶発症など)に関して年度内に議論を取りまとめ、来年度の指針の改正に反映する方針を示し、了承された。

同日の検討会ではこのほか、がん検診の不利益の1つである過剰診断について阪大の祖父江友孝構成員が解説。「過剰診断とは生命予後に影響しない、微小で進行の遅いがんを見つけてしまうこと」と説明する一方で、「定量的な評価方法については一定の見解がない」とし、「過剰診断はがん検診の不利益として認識されにくいことから、がん検診の受診者に対する説明には工夫が必要」との見解を示した。また、年齢による検診の不利益については、若年層は偽陽性、放射線ひばくが多く、高齢層は過剰診断、合併症が多くなることや、米国予防医療専門委員会(US Preventive Services Task Force)では年齢ごとに検診の推奨度を変えていることなどを紹介。その上で、「がん検診は頻回に行うほどよいとも限らず、不利益を考えて推奨することが必要」と説明した。

不利益に着目した指針改正の議論をスタートさせた厚生労働省の「がん検診のあり方に関する検討会」

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