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財務省の提案に異議、「寝たきりを半分にすれば医療費削減が可能」―日慢協・武久会長

No.4909 (2018年05月26日発行) P.19

登録日: 2018-05-18

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日本慢性期医療協会の武久洋三会長は17日の会見で、財務省が先月の財政制度等審議会財政制度分科会で提案した社会保障の方針について異議を唱え、「寝たきりを現在の半分にすれば医療介護費用は大幅に削減できる」と訴えた。

財務省は医療費・介護費の伸びを抑制するため、人口や経済の動態に応じて医療費給付率を自動的に調整する仕組みや、都道府県ごとに設定する地域別診療報酬、75歳以上窓口負担の2割への引上げなどを提案している。

これに対し武久氏は、「国民に負担を押し付けることで医療費の適正化を図ろうとしているが、もっと根本的な対策を考えてはどうか」と批判。日本の医療費の無駄使いの具体例として、①平均在院日数・人口当たりの病床数は米国の5倍以上、②入院期間が短いはずの一般病床が慢性期病床の3倍、③特定除外制度(一般病床に90日以上入院している患者への優遇策)、④諸外国と比べて一般病床における入院日数は5倍、⑤諸外国と比べて寝たきり患者が5倍いるので医療介護費用が5倍―と列挙した。

その上で、「急性期病院に長く入院させていることが寝たきりを作っている。寝たきりをせめて現在の半分にできれば、医療介護費用は大幅に削減できる」と指摘。「そのためには、リハビリができない急性期病院での入院期間を大幅に短縮させ、急性期病院は、初期治療が終われば直ちにリハビリの充実した地域多機能型病院に転院させる。そうすれば、医療費の増大がみるみる抑制されるのではないか」と提案した。このほか、「慢性期病院での社会的入院の削減」「特定除外制度の経過措置の撤廃」の必要性も指摘した。

「現場からの発信として、患者負担増でどうにかなるものではないと財務省に助言したい」と話す武久氏

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