株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

(1)血液検査によるPM/DM/CADMの診断・予後─自己抗体の有用性[特集:多発性筋炎・皮膚筋炎─診断・治療の現状]

No.4908 (2018年05月19日発行) P.28

五野貴久 (日本医科大学大学院医学研究科アレルギー膠原病内科学分野准教授)

登録日: 2018-05-21

最終更新日: 2018-05-16

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

皮膚・筋肉・関節・肺・心臓に炎症が生じる全身性自己免疫疾患である多発性筋炎(PM)/皮膚筋炎(DM)/臨床的無筋症性皮膚筋炎(CADM)では,疾患に特異的な自己抗体(MSA)が多くの患者で認められる

MSAの測定は,あくまでも診断の補助的なものであり,身体所見およびその他の検査所見と併せて,包括的にPM/DM/CADMの診断を行う

MSAの測定は,PM/DM/CADM患者の臨床経過,治療反応性,併発症および予後を予測できるきわめて有用なツールである

抗ARS抗体と抗MDA5抗体は間質性肺病変の併発と,抗TIF1-γ抗体は悪性腫瘍の併発と強い関連がある

1. 多発性筋炎(PM)/皮膚筋炎(DM)とは

本来,微生物など異物より自己を守るために機能している免疫が,遺伝的素因およびウイルス感染など環境因子により,自己の皮膚や筋肉に対して反応し,皮膚炎や筋炎をきたす膠原病が,多発性筋炎(polymyositis:PM)/皮膚筋炎(dermatomyositis:DM)である。PM/DMに罹患した患者は,筋炎による筋肉痛や筋力低下を自覚し,肩の挙上,坐位からの立ち上がり,寝返り,階段の昇降など日常生活動作に支障をきたす。

また,手指・肘・膝の関節伸展部に落屑を伴う紅斑(ゴットロン丘疹・徴候),上眼瞼に浮腫を伴う紅斑(ヘリオトロープ疹)といったDMに特徴的な皮疹を認めるも,臨床的に筋症状を認めない,ないし乏しい場合には,臨床的無筋症性皮膚筋炎(clinically amyopathic DM:CADM)と診断する。

プレミアム会員向けコンテンツです(期間限定で無料会員も閲覧可)
→ログインした状態で続きを読む

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top