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(20)Ⅺ 内科疾患患者にみられる,一見薬疹には見えない意外な薬剤性皮膚障害─固定薬疹[特集:皮膚病変でみる内科疾患]

No.4887 (2017年12月23日発行) P.64

井川 健 (獨協医科大学医学部皮膚科学講座主任教授)

権守 隆 (獨協医科大学医学部皮膚科学講座)

登録日: 2017-12-26

最終更新日: 2017-12-18

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  • 薬剤投与を契機にして,ある決まった場所のみに紅斑が繰り返し出現することが特徴である

    原因薬剤としては非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の頻度が最も高く,また,薬剤リンパ球刺激試験は陽性になりにくいとされている

    エピソードを繰り返すうちに,病変の増数,拡大をきたし,中毒性表皮壊死症(TEN)への進展など,重症化する場合もあるので注意する

    症 例

    49歳,女性。主訴:皮膚,粘膜の違和感,紅斑(図1)

    【家族歴】 父:Behçet病
    【既往歴】 花粉症〔エバスチン(エバステル)内服中〕
    【現病歴】 ‌花粉症に対して,エバスチンを定期的に服用中であった。たまたま同薬剤が足りなくなり,オキサトミド(セルテクト)を家族より譲渡され内服していた,というエピソードがある。

    ‌今回,当科受診より4日前,同様にオキサトミドを服用したところ,服用数時間後より,下口唇,口腔内,外陰部に違和感が出現し,翌日より同部位に紅斑,びらんが出現して徐々に増悪した。当科受診時,下口唇は腫脹し,下口唇下部に鱗屑を付着する有痛性の紅斑を認め,下口唇内側や舌,頰粘膜には小さなびらんが多発していた。外陰部には特記すべき所見は認めなかった。他の皮膚や粘膜部位には特記すべき所見を認めず,発熱など全身症状も認めなかった。

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