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(1)病院前脳卒中スケールの有用性と意義[特集:外さない,見逃さない,脳卒中急性期診療─病院前脳卒中スケール(CPSS,KPSSなど)の使い方]

登録日: 2017.09.15 最終更新日: 2026.02.21

井口保之 (東京慈恵会医科大学神経内科教授) 三村秀毅 (東京慈恵会医科大学神経内科講師)

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病院前脳卒中救護では,救急隊が病院前脳卒中スケールを使用し,脳卒中疑い傷病者を評価する

「病院前脳卒中選別スケール」と「病院前脳卒中重症度評価スケール」が使用されている

経動脈的血栓回収療法(EVT)時代を迎え,病院前主幹動脈閉塞スクリーニングの開発が急務である

1. 病院前脳卒中救護の必要性

超急性期脳梗塞は,発症4,5時間以内であれば遺伝子組み換え組織型プラスミノーゲン活性化因子(recombinant tissue plasminogen activator:rt-PA)を用いた経静脈的血栓溶解(IV rt-PA)療法1)2),その後血管閉塞が残存している場合には,直ちに経動脈的血栓回収療法(endovascular treatment:EVT)を実施することにより転帰が改善する。

超急性期脳梗塞の診療現場における合言葉は“Time is brain”である。1例でも多く早期再灌流療法(IV rt-PAおよびEVT)を実施し,一般市民にその治療効果の恩恵を与えるために重要な第1歩は,発症から来院までの脳卒中診療支援,いわゆる病院前脳卒中救護である。課題は,各医療圏の実態に即した病院前脳卒中救護体制を整えることである3)

本稿では,早期再灌流療法を見据えた超急性期脳梗塞の診療体制を構築するために必要な病院前脳卒中救護の展望について概説する。

2. 病院前脳卒中スケールとstroke bypass

1 病院前脳卒中救護体制に不可欠なstroke bypass

病院前脳卒中スケールとは,救急隊が実施する病院前脳卒中救護で活用する脳卒中評価スケールである。消防本部と救急隊は,医療圏での取り決めに従い,迅速な病院前脳卒中救護を実施する。まず,傷病現場より消防本部へ「傷病者発生」の連絡が入った時点で,消防本部は「脳卒中疑いか否か」を判断し,救急隊に傷病現場への急行を指示する。次に救急隊は現場で迅速に「脳卒中疑いか否か」を判断し,直ちに脳卒中センターに搬送する。傷病現場から脳卒中非専門医療施設を介さずに直接脳卒中センターへ搬送するシステムを,stroke bypassと呼称する。早期再灌流療法に対応した病院前脳卒中救護体制を構築するためには,各医療圏にstroke bypassを整備することが重要である。救急隊は,「病院前脳卒中選別スケール」(脳卒中疑い傷病者に対して救急隊が搬送現場で脳卒中か否か判別する),「病院前脳卒中重症度評価スケール」(救急隊が脳卒中疑い傷病者の神経症状の重症度を評価する)を運用する。


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