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(2)病院前脳卒中スケールのつけ方[特集:外さない,見逃さない,脳卒中急性期診療─病院前脳卒中スケール(CPSS,KPSSなど)の使い方]

登録日: 2017.09.15 最終更新日: 2026.02.21

國本健太 (北村山公立病院脳神経外科診療部長)

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日本脳卒中データバンクによると,わが国における脳卒中では脳梗塞が約77%,脳出血が17.6%,くも膜下出血が5.3%の頻度であり,脳梗塞の比率が圧倒的に高い1)

脳卒中が疑われる傷病者の対応での救急活動では,“the Right patient,in the Right time,to the Right place”(3R)の実現が,傷病者の予後を改善すると期待されている

傷病者の予後を改善させるためには病院前救護(プレホスピタルケア)から医療機関における診療(ホスピタルケア)へのシームレスな流れが重要である

シンシナティ病院前脳卒中スケール(CPSS)は,脳卒中の気づきのチェック項目である。1項目でも当てはまれば脳卒中である可能性が高く,感度が高い観察項目である

倉敷病院前脳卒中スケール(KPSS)は,脳卒中の重症度を評価するスケールであり,院内で行われる脳卒中重症度スケール(NIHSS)のスコアとよく相関する

1. なぜ脳卒中診療に病院前脳卒中スケールが必要なのか?

1 脳卒中の発症率─脳卒中の位置づけ

日本人の主な死亡原因の推移を見ると,脳卒中は1980年あたりまでは死亡原因の第1位であったが,その後悪性脳腫瘍や心疾患,肺炎に抜かれ,現在は第4位となっている。しかし,脳卒中の新規発生率は人口10万人当たり100~150人であり,重要な疾患のひとつであることに変わりはない。またいったん発症してしまうと,永続的な後遺症を残したり,生命予後を著しく短縮させる疾病であり,要介護に至る疾患の筆頭である。発症の予防や,発症してからの治療の質の向上,さらには急性期における救急医療体制や地域連携の構築が求められている。

2 脳卒中における病院前救急医療の重要性

2009年10月に消防法の一部改正が行われ,救急患者の搬送と受け入れのルールを作成することが義務づけられた。これをふまえ,行政や消防機関が協力して脳卒中の受け入れシステムを構築する動きが全国的に始まっている。

米国心臓協会(American Heart Association:AHA)は,質の高い脳卒中治療を提供するために(脳卒中治療をよりスムーズに提供できるシステムとして),次のような連携(8Ds)が重要であると提唱している2)

①発見と迅速な救急隊への通報(Detection)
②救急車の出動(Dispatch)
③適切な医療機関への搬送(Delivery)
④救急外来での適切な判断(Door)
⑤神経学的所見や血液生化学的所見(Data)
⑥治療方針の決定(Decision)
⑦血栓溶解液の投与や外科的治療など(Drug administration)
⑧迅速な脳卒中専門病院または集中治療室への入院(Disposition)

これら8つの項目のすべてが迅速かつ適切に連動してはじめて,質の高い脳卒中救急診療が提供できるとされている。特に病院前救護においては,はじめの3つの「D」が重要で,適切な患者(the Right patient)を,適切な時間内(in the Right time)に,適切な医療機関(to the Right place)に搬送する(3R)体制づくりが望まれる。

3 脳卒中治療のためには,標準化した診療の流れが必要である

わが国では臨床的研究治療などにおいて,一部の医療機関で遺伝子組み換え組織型プラスミノーゲン活性化因子(recombinant tissue plasminogen activator:rt-PA)の静脈内投与が行われていたが,2005年に正式に認可され,早期の血栓溶解療法によって病態の進展を最小に食い止め,予後を改善することが可能となっている。さらに2012年8月より治療開始可能時間帯が「発症から4.5時間」に延長され,より対象範囲が広がった。そのため,病院前救護のより一層の充実を図ることや,迅速で適切な傷病者の評価,適切な搬送先医療機関の選定と素早い搬送が求められるようになっている。

脳卒中救急を取り扱うための,標準化したシステムが構築されつつある。2006年には日本救急医学会と日本神経救急学会の2学会合同で病院内の脳卒中対応として,ISLS(immediate stroke life support)が開発された。

2007年には病院前救護としてPSLS(prehospital stroke life support)コースが,日本臨床救急医学会,日本救急医学会,日本神経救急学会の合同で策定された。


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