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蔓延する“インチキがん医療”の現状(勝俣範之 日本医科大学腫瘍内科教授)【この人に聞きたい】

No.4871 (2017年09月02日発行) P.10

勝俣範之 (日本医科大学腫瘍内科教授)

登録日: 2017-09-01

最終更新日: 2017-08-31

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  • 効果がない上に、高額であるという
    重大な“副作用”がある
    標準治療は「最善の治療」であることを理解してほしい

    〔略歴〕1963年山梨県生まれ。88年富山医薬大卒。92年より国立がんセンター中央病院、同病院医長を経て2011年10月日本医大武蔵小杉病院腫瘍内科教授

    6月に市川海老蔵さんの妻・小林麻央さんが乳がんで亡くなった。民間療法の存在が取り沙汰され、がんの自由診療に注目が集まっている。そこで適切ながん医療の普及に向け情報発信を続ける腫瘍内科医の勝俣範之氏に、がん医療の現状について聞いた。

    「オプジーボ」と免疫細胞療法併用のハイブリッド型も

    ─麻央さんが民間療法中心の治療を受けていたと報道され、波紋が広がっていますが、患者さんに変化はありましたか。

    患者さん自体に変化はありません。むしろ変わったのはメディアではないでしょうか。怪しげな民間療法は以前から存在していますが、最近はかなり悪質なものも増えています。やっとメディアが、私がこれまで訴えてきた“インチキがん医療”の存在を取り上げるようになりました。

    ─今もっとも問題視しているのはどういう治療ですか。

    今はびこっているのは“免疫療法”と銘打っているものです。何百万円単位と高額ですが効果はありません。免疫という言葉は響きが良い上に、保険適用の免疫チェックポイント阻害薬と混同しやすい点も問題です。免疫チェックポイント阻害薬は抗体治療ですが、巷に溢れる免疫療法と称しているのは、自分の細胞を採って培養して戻すというようなもの。これは何十年も前から大学病院などで研究していたが芽が出なかったものがいまだに行われているのです。

    看過できないのは、エビデンスのある免疫チェックポイント阻害薬と併用する形で免疫細胞療法を行い、「これが最先端の医療です」と言っているところがあるのです。しかも「オプジーボ」を通常の10分の1の量とかで投与している。用量通りに投与したら高額なので儲けが少ない上に、副作用の恐れもあるので、こうしたやり方をしている。非常に悪質です。

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