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AMR対策アクションプランはなぜ作られた?─耐性菌の脅威にさらされる国際社会[特集:薬剤耐性問題から変わる感染症診療─抗菌薬処方のこれから]

No.4870 (2017年08月26日発行) P.8

登録日: 2017-08-25

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  • 政府が2016年にアクションプラン作成

    「このまま薬剤耐性(AMR)に対する解決策を見出さない場合、2050年までに年間1000万人の生命と累積100兆米ドルがAMR感染症によるリスクにさらされる」(オニールレポート)。AMRがいかに国際的課題であるかを表す推計だ。

    抗菌薬の開発と耐性菌の出現はいたちごっことも言える。1928年に世界初の抗菌薬ペニシリンが発見されたが、40年には耐性菌が出現。その後も新規抗菌薬の開発に伴い、様々な耐性菌が出現する状況が続いている(図1)。一方で、新たな抗菌薬の開発は停滞(図2)。抗菌薬を適正に使用しなければ、将来的に感染症を治療する際に有効な抗菌薬が存在しなくなる事態まで懸念されている。


    AMRの問題は医療分野にとどまらない。抗菌薬等の抗微生物薬は獣医療、畜水産、農業分野で使用され、薬剤耐性微生物や薬剤耐性の原因となる遺伝子が食品や環境などを介して、人へ伝播することが指摘されている。

    こうした状況からAMR対策には、人、動物、環境という分野横断的な課題に関係者が連携して取り組む「ワンヘルスアプローチ」が必要との認識が世界で共有され、世界保健機関(WHO)は2015年、「AMRに関するグローバル・アクション・プラン」を作成。加盟各国に2年以内の自国の行動計画の策定を要請した。これを受けて日本政府は16年4月、20年までの5年間で実施すべき対策を「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」としてまとめた。

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