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(2)ホルモン補充療法における使用薬剤とその特徴[特集:ホルモン補充療法(HRT)の変遷と現状]

No.4865 (2017年07月22日発行) P.31

安井敏之 (徳島大学大学院医歯薬学研究部生殖・更年期医療学分野教授)

登録日: 2017-07-21

最終更新日: 2017-07-19

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  • エストロゲン製剤は,種類,投与経路,投与量によって作用の強弱が異なる

    子宮が存在する場合には,黄体ホルモン製剤を併用する

    肥満やメタボリック症候群,胆石症,慢性肝疾患を合併した女性では,経皮製剤を考慮する

    1. エストロゲン製剤の種類

    わが国で発売されているエストロゲン製剤には,経口・経皮および経腟製剤がある(表1)。経口製剤には,結合型エストロゲン(conjugated equine estrogen:CEE),エストラジオール(E2),エストリオール(E3)があり,経皮製剤にはパッチとゲルがある。また,腟剤にはE3がある。同じエストロゲン製剤であっても,種類,投与経路,投与量によって作用の強弱は異なる。

    1 経口製剤

    (1)エストラジオール(E2)製剤

    1錠にE2が0.5mg含有され,更年期障害,骨粗鬆症,腟萎縮症状に効果を発揮し,保険適用を有する。

    (2)結合型エストロゲン(CEE)製剤

    CEE製剤は,純粋なE2製剤ではなく,妊馬尿より抽出,精製して得られたもので,エストロンやエクイリンなど約10種類のエストロゲン様物質が含まれている。更年期障害や萎縮性腟炎に効果を発揮し,骨量増加効果や骨折抑制効果も認められ,保険適用を有する。

    (3)エストリオール(E3)製剤

    E3製剤は,生物活性が比較的弱いエストロゲン製剤であり,子宮内膜に対する作用は弱く,萎縮性腟炎や骨粗鬆症などの治療目的で用いる。

    E2製剤とCEE製剤は,同じ経口エストロゲン製剤であっても,エストロゲン活性は同じではない。両者とも肝臓で代謝を受け,脂質代謝や血管炎症マーカーに影響するが,E2製剤は,CEE製剤に比べて影響が少ない。中性脂肪が高い症例やbody mass index(BMI)が25を超えていて経口剤を用いる場合には,E2製剤が望ましい。また,胆石症を合併している症例にもCEE製剤よりE2製剤のほうが望ましい1)

    2 経皮製剤

    (1)パッチ製剤

    E2が0.72mg(放出量は約50μg)含有され,更年期障害や骨粗鬆症に効果がみられる。

    (2)ゲル製剤

    ボトルタイプと袋タイプがあり,ボトルタイプには,1プッシュ0.54mg,2プッシュ1.08mgのE2が含有され,袋タイプには,1包(1.0g)に1.0mgのE2が含有されている。いずれも更年期障害に適応がある。

    3 経腟製剤

    E3製剤には経腟製剤も存在し,泌尿生殖器系症状に有効である。

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