母体血を用いた新型出生前診断(NIPT)の実施が認められていない施設がNIPTを実施したと10月に報道されたことを受け、日本医師会、日本医学会、日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本人類遺伝学会の5団体は2日、「直ちに検査の実施を中止すべき」とする共同声明を発表した。
NIPTは倫理的問題などに対応するため、2013年から臨床研究として日産婦の指針(用語解説)に基づき実施されている。実施施設は日本医学会が認定。10月25日現在、全国76施設が認定施設になっている。ここでは、母体血により胎児の特定の染色体(13番、18番、21番)の数的異常を検出する非確定的検査を実施。診断を確定するには羊水検査が必要となる。
日本医学会の認定を受けずにNIPTを実施した施設として日産婦が把握しているのは現時点で3クリニック。いずれも日産婦の会員が関わっているため、日産婦は会員に事情聴取した後、処分を検討する方針。
共同声明では今回の問題について、「大変遺憾で、由々しき事態」との見解を表明。その上で、①日本医学会の認定を受けずにNIPTを実施している医療機関や医療従事者、また検査を請け負っている検査機関や仲介業者等は直ちに検査の受諾及び実施を中止すべき、②出生前診断の実施に際しては十分な遺伝カウンセリングが行われることが必要、③日本医学会に所属する全学会は会員への監督を適正に行い、日本医師会に所属する全会員は日産婦の指針等を遵守するよう求める─と要請した。
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