公式エンブレムデザイン盗用疑惑に新国立競技場の建設計画白紙撤回と、昨年は何かと話題に事欠かなかった東京五輪だが、それ以外にも解決すべき課題は多い。その1つが、受動喫煙防止を巡る問題だ。
国際オリンピック委員会(IOC)と世界保健機関(WHO)は2010年に「たばこのない五輪」を推進することで合意し、開催国に受動喫煙防止対策の強化を求めているが、日本のたばこ規制は遅れている。
厚生労働省の調査によると、非喫煙者のうち、過去1カ月間に受動喫煙が「あった」と答えた者は職場、飲食店、遊技場において3割を上回る。行政機関、医療機関、学校などの公共施設でも「煙がゼロ」とは言えない状況だ(図1)。
図1 場所別の受動喫煙者率の推移
図2に示したように、米国の公衆衛生年鑑によると、受動喫煙は成人では鼻刺激、肺がん、冠動脈疾患、女性の生殖作用への影響が確実とされており、脳卒中との関連も指摘されている。小児では、中耳疾患、呼吸器系症状、下気道疾患、乳幼児突然死症候群(SIDS)との関連が確実視されている。受動喫煙を放置することが非喫煙者の疾患リスクを高めることに疑いの余地はない。
残り1,243文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する