変形性肩関節症は,日常臨床の現場で頻回に遭遇する疾患であり,患者の日常生活動作を著しく損なう重要な疾患単位である。一般にその発症には,年齢,性別,人種,遺伝などの全身的な要素と関節への荷重,外傷歴,肥満,骨折続発性変化などの局所的な要素が関与しているとされている1)。わが国でも年齢が進むにしたがって統計学的にも有意に有病率が高くなる2)。
変形性肩関節症には,明らかな原因を特定できない一次性変形性肩関節症と,原因を特定できる二次性変形性肩関節症がある。X線画像で関節裂隙の狭小化,骨棘,骨硬化像を認める。二次性変形性肩関節症の多くは,腱板断裂後に関節症性変化が進行する腱板関節症であり,この場合は前述のX線画像所見に加え,MRI画像で腱板広範囲断裂を認める。
変形性肩関節症の主要症状は,疼痛と可動域制限である。しかし,X線画像上の変形性肩関節症性変化の程度と疼痛に相関はなく,必ずしもX線画像上での変形が進行すればするほど,疼痛が強くなるということはない。
残り1,240文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する