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過期妊娠[私の治療]

No.5185 (2023年09月09日発行) P.49

大槻克文 (昭和大学江東豊洲病院副院長/周産期センター長/産婦人科教授)

登録日: 2023-09-06

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  • 過期妊娠(post term)とは妊娠42週0日以降の妊娠であり,妊娠41週0日から41週6日までの期間をlate-termと呼称する。妊娠42週を過ぎても陣痛が発来せず分娩に至らない際には,過期妊娠と診断する。過期妊娠では児死亡率が急上昇し,胎児胎盤機能不全による緊急帝王切開率が高まること,ならびに十分に胎児が成熟していることから,分娩誘発を考慮する。
    過期妊娠の場合,羊水過少,臍帯圧迫,胎児機能不全となる症例や羊水混濁から胎便吸引症候群(meconium aspiration syndrome:MAS)となる症例,さらに巨大児のために肩甲難産や分娩時損傷のリスクが高くなる。過期産の問題点として,胎盤機能不全による子宮内環境の悪化に伴う胎児機能不全,新生児仮死,緊急帝王切開の増加,MASや,時として死産となることがある。一方,子宮内環境が良好な際は巨大児となり,肩甲難産,分娩時損傷などのリスクが高くなる(図)。

    ▶診断のポイント

    妊娠42週を過ぎても分娩に至らない場合には,まず妊娠週が正確か否かを改めて確認する。次に,子宮内環境を評価するために羊水過少がないか否かの確認,non stress test(NST)を定期的に行い,biophysical profiling score(BPS)にて胎児のwell-beingを評価する必要がある。また,胎児の推定体重を超音波で計測し,巨大児が疑われる場合,母体が低身長で狭骨盤が疑われる際にはX線骨盤計測(Guthmann法,Martius法)実施を考慮し,児頭骨盤不均衡がないかを確認する。なお,過期妊娠症例において骨盤計測は必須ではないが,内診所見や胎児推定体重などで総合的に判断することが肝要である。

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