【質問者】須田隆文 浜松医科大学医学部内科学第二講座(内分泌・呼吸・肝臓内科学分野)教授
【①曝露評価が重要,②抗原の大きさが3〜5μm,呼吸細気管支領域に病変ができる,③進行すると特発性肺線維症と鑑別困難,経時的な画像で診断】
過敏性肺炎(hypersensitivity pneumonitis:HP)の診断のポイントは,①曝露評価,②抗原粒子径と解剖学的特性,③経過の重要性,の3つです。
HPは特定の抗原が原因のアレルギー性の間質性肺炎であり,抗原を探し出す曝露評価が重要です。環境中に存在する抗原を吸い込むことにより発症する疾患なので,生活環境や職場の環境に注目します。
診断は,①曝露評価,②画像所見,③気管支肺胞洗浄(bronchoalveolar lavage:BAL)液リンパ球の増加・病理所見,の3項目に基づいた多職種合議(臨床科,放射線科,病理科)で行います1)。この3項目の1つ目「曝露評価」がポイントです。環境曝露質問票,抗原回避試験,環境調査,抗原曝露評価票で曝露評価します2)。問診および環境曝露質問票を参考に,発症環境を患者より聞き出し(可能であれば環境調査を実施),抗原回避試験で抗原と病態の関連性を明らかにし3),抗原曝露評価票を用いて抗原の有無(尤度)を決定します。環境曝露質問票・抗原曝露評価票はhttps://www.tmd.ac.jp/med/pulm/hp.htmlに公開されています。診療指針については,2022年にわが国の「過敏性肺炎診療指針2022」が発表されていますのでご参照下さい2)。
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