慢性活動性EBV感染症(chronic active Epstein-Barr virus infection)は,遷延あるいは再発する発熱,肝障害,および全身の炎症症状を示し,末梢血に高レベルのEpstein-Barr virus(EBV)が検出される疾患である。通常B細胞を標的とするEBVが,T細胞あるいはNK細胞に持続感染,活性化し,クローナルに増殖する。その結果,感染細胞の臓器浸潤・高サイトカイン血症に伴う全身の炎症を生じ,進行すると炎症の暴走である血球貪食性リンパ組織球症や,EBV陽性T細胞リンパ腫もしくはNK細胞リンパ腫を発症する。全年齢層に患者は存在する。
2016年に発刊された「慢性活動性EBウイルス感染症とその類縁疾患の診療ガイドライン」により,本症の診断には,以下の4項目を満たすことが定められている。
①伝染性単核症様症状が3カ月以上持続(連続的または断続的)
②末梢血または病変組織におけるEBVゲノム量の増加
③T細胞あるいはNK細胞にEBV感染を認める
④既知の疾患とは異なること
発熱,リンパ節腫脹,肝脾腫を認めることが多いが,その他,発疹,貧血,血小板減少,下痢,下血,ぶどう膜炎,血管炎,冠動脈瘤など,症状は多岐にわたる。種痘様水疱症,蚊刺過敏症といった皮膚症状を合併することがある。
末梢血中あるいは組織中におけるEBV感染細胞の増殖を,末梢血EBV-DNA定量検査,もしくは組織検査で示す。診断にはEBVのT細胞もしくはNK細胞への感染の証明が必要であるが,組織検査が可能な症例は限られる。末梢血を用いた解析が有用であるが,実施できる施設は限られているため,専門施設に依頼する。
残り1,069文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する