株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

慢性活動性EBV感染症[私の治療]

No.5146 (2022年12月10日発行) P.43

新井文子 (聖マリアンナ医科大学血液・腫瘍内科教授,東京医科歯科大学血液疾患治療開発学教授)

登録日: 2022-12-12

最終更新日: 2022-12-06

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 慢性活動性EBV感染症(chronic active Epstein-Barr virus infection)は,遷延あるいは再発する発熱,肝障害,および全身の炎症症状を示し,末梢血に高レベルのEpstein-Barr virus(EBV)が検出される疾患である。通常B細胞を標的とするEBVが,T細胞あるいはNK細胞に持続感染,活性化し,クローナルに増殖する。その結果,感染細胞の臓器浸潤・高サイトカイン血症に伴う全身の炎症を生じ,進行すると炎症の暴走である血球貪食性リンパ組織球症や,EBV陽性T細胞リンパ腫もしくはNK細胞リンパ腫を発症する。全年齢層に患者は存在する。

    ▶診断のポイント

    2016年に発刊された「慢性活動性EBウイルス感染症とその類縁疾患の診療ガイドライン」により,本症の診断には,以下の4項目を満たすことが定められている。

    ①伝染性単核症様症状が3カ月以上持続(連続的または断続的)
    ②末梢血または病変組織におけるEBVゲノム量の増加
    ③T細胞あるいはNK細胞にEBV感染を認める
    ④既知の疾患とは異なること

    【症状】

    発熱,リンパ節腫脹,肝脾腫を認めることが多いが,その他,発疹,貧血,血小板減少,下痢,下血,ぶどう膜炎,血管炎,冠動脈瘤など,症状は多岐にわたる。種痘様水疱症,蚊刺過敏症といった皮膚症状を合併することがある。

    【検査所見】

    末梢血中あるいは組織中におけるEBV感染細胞の増殖を,末梢血EBV-DNA定量検査,もしくは組織検査で示す。診断にはEBVのT細胞もしくはNK細胞への感染の証明が必要であるが,組織検査が可能な症例は限られる。末梢血を用いた解析が有用であるが,実施できる施設は限られているため,専門施設に依頼する。

    残り1,069文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top