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成人Still病(ASD)[私の治療]

No.5142 (2022年11月12日発行) P.43

金子祐子 (慶應義塾大学医学部リウマチ・膠原病内科教授)

玉井博也 (慶應義塾大学医学部リウマチ・膠原病内科)

登録日: 2022-11-13

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  • 成人Still病(adult Still’s disease:ASD)は発熱,皮疹,関節症状を三主徴とする全身性炎症性疾患である。16歳以上で新規に発症した場合と,小児期に全身型若年性特発性関節炎を発症した患者が成人となった場合があるが,ここでは16歳以上で新規発症した場合を扱う。

    ▶診断のポイント

    特徴的な症状や検査所見に乏しく,感染症,悪性腫瘍,膠原病などの他疾患の除外が重要である。診断には山口基準が用いられ,39℃を超える発熱,サーモンピンク疹を典型とする皮疹,関節痛,咽頭痛,リンパ節腫脹・脾腫,80%以上の好中球増加を伴う白血球増多(>1万/μL),肝障害,抗核抗体・リウマチ因子陰性などをもとになされる。血清フェリチン高値(正常上限の5倍以上)も診断の参考となる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    全身型の場合には0.5~1.0mg/kg/日のプレドニゾロンで加療を開始する。初期治療開始後にも合併症であるマクロファージ活性化症候群が生じる可能性があり,この場合にはステロイドパルス療法やプレドニゾロンの増量が必要である。ステロイド減量中に再燃を認める場合にはメトトレキサート,シクロスポリン,タクロリムスなどの免疫抑制薬の併用や,抗IL-6受容体抗体であるトシリズマブを併用することがある。また,近年,再燃予防やステロイド総投与量の削減を目的に,診断後早期からこれらを併用することも試みられている。

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