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薬価算定組織のあり方にもメスを [お茶の水だより]

No.4821 (2016年09月17日発行) P.15

登録日: 2016-09-21

最終更新日: 2016-10-05

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▶高額薬剤問題を受け、次期診療報酬改定に向けた薬価制度の抜本的改革が検討されている。柱となるのは、“期中改定”導入の是非や薬価算定ルールの見直しだが、本欄では中央社会保険医療協議会の薬価算定組織改革の必要性を指摘したい。
▶薬価制度改革のきっかけとなったがん免疫療法薬「オプジーボ」は、類似薬がないため原価計算方式で算定された。全国保険医団体連合会の分析では、オプジーボの日本の薬価は米国の約2.5倍、英国の約5倍であると指摘されている。確かにオプジーボはほぼすべての癌に効果が期待できる画期的新薬だが、5倍もの価格差は許容範囲を超えているだろう。
▶薬価は2000年に設立された薬価算定組織が算定案を策定し、中医協の了承を経て収載される。しかし、“算定原案”を作るのは厚生労働省保険局だ。オプジーボには営業利益率に60%の加算がついたが、その根拠は不明。原案には保険局の裁量的判断が大きく影響するとされ、またほとんどの薬価が原案通りに決まっているとの指摘がある。
▶薬価算定組織は「類似薬や最類似薬選定」「補正加算適用」「製品製造原価」などの妥当性について専門的な検討を行うことになっている。しかし中医協の議論では、委員が疑問を投げかけても歴代の薬価算定組織委員長は「ルールに基づき妥当と判断した」との旨の発言を繰り返してきた印象が強い。根拠を求めても同組織の議論は非公開のためデータは明らかにされず、説得力に欠ける。また、委員構成も非公開であり、まさにブラックボックスだ。厚労省の改革メニューに上ってはいないが、薬価算定プロセスの透明化に向け、同組織のあり方にメスを入れる必要があるのではないか。

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