No.5022 (2020年07月25日発行) P.59
工藤弘志 (順心病院サイバーナイフセンターセンター長)
登録日: 2020-07-14
最終更新日: 2020-07-14
前回(No.5019)述べたように、医師国家試験において療養担当規則を基本とした保険診療に関する問題が出題され、それに合格した者が保険医となることとすれば、雑感②(No.5000)で述べた医師の保険診療に対する不安の解消に役に立つのかもしれません。しかしながら、これで全ての不安が解消される訳ではないでしょう。
建前としては、保険診療に関する問題が出題された医師国家試験に合格すればちゃんとした保険医だとはいえますが、年を経るにつれ自己流の診療に変化し、それが果たして適正な保険診療になっているのであろうかという不安がつきまとうのではないでしょうか。
診療報酬明細書(レセプト)を正しく作成することは保険診療の基本的事項ですが、それだけではありません。レセプトには記載されない保険診療の基本的事項は多々存在します。御自身の診療が保険診療に合致しているかどうかを知る確実な方法は、『医科点数表の解釈』あるいは『診療点数早見表』で診療内容およびレセプトの記載内容を確認することです。多忙な日々を過ごしているので、いちいちそのような書物で確認するのは面倒だと思われる方が大多数かと思いますが、一度確認していれば済むことですので、是非ご確認されれば、安心されるのではないでしょうか。
具体的な例を挙げてみます。個別指導で指摘する頻度の最も高いのが医学管理料です。何かの薬剤の血中濃度を測定した場合、レセプトには特定薬剤治療管理料として請求されるでしょう。この管理料は、薬剤の血中濃度を測定するだけでは請求できません。測定した後の治療計画の要点を診療録に記載してはじめて請求できるのです。このことは、ちゃんと『医科点数表の解釈』等に必須事項として記載されています。
工藤弘志(順心病院サイバーナイフセンターセンター長)[保険診療雑感⑧]