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遠くへ行きたいなら、みんなで行け[炉辺閑話]

No.4993 (2020年01月04日発行) P.51

武石大輔 (城北病院小児科部長)

登録日: 2020-01-04

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私は、現在約300床の中規模病院で働いています。総合診療のできる小児科医をめざし、病棟で100歳の方の誤嚥性肺炎を治療しながら、外来で0歳の子の食物アレルギーについての相談にのっています。

2014年、私のその後の医師人生を変える、大きな出会いがありました。HAPPY(子どもの病歴と身体診察のワークショップ)との出会いです。これは若手小児科医が中心となって、検査に頼らず、自らの腕を磨くことでどこまで診断に迫れるか挑戦するワークショップです。また、これから後輩に指導していく立場の先生と、どうやったら小児診療を上手に伝えていけるかを一緒に考えることも目的としています。自分と同世代の先生が、こんなにも熱く医療に挑戦し、学びの場をつくり上げていることに感動し、参加した次の回からは自分もつくり手に加えて頂くこととなりました。

このワークショップには、全国各地の小児科医が集まっています。こども病院に勤めている先生から大学病院の先生、開業医の先生、そして私のような市中病院の医師もいます。正直、こども病院や大学病院で行っている小児医療と、一般市中病院で行っている小児医療の違いに、同じテーブルで議論していてもよいのだろうか?と自信をなくしそうになることもありました。しかし、HAPPYは背景や肩書の垣根なく、小児診療に熱い思いを持っている人を受け入れてくれます。

そんな環境で遠慮なく意見を交わし、1つのコンテンツをつくり上げていくと、インストラクターの先生の集まりは、いつしか大切な仲間となっていました。住んでいる場所や年齢、背景などの壁を飛び越えて、1つの大きな目標に一緒に向かっていけて仲間を得られたことは、私にとってとても大きな財産となりました。ワークショップの中では、いろいろな先生が話をしてくれますが、若手医師へのメッセージとして次の言葉を引用されることがあります。「速く行きたいなら、1人で行け。遠くへ行きたいなら、みんなで行け」。これからも多くの仲間をつくって、ともにより遠くをめざしたいと思っています。

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