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巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)[私の治療]

No.4985 (2019年11月09日発行) P.49

中島亜矢子 (三重大学医学部附属病院リウマチ・膠原病センター教授)

登録日: 2019-11-08

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  • 巨細胞性動脈炎(giant cell arteritis:GCA)は高齢者に多い(多くは50歳以上)疾患で,頸動脈や椎骨動脈の分枝を傷害する動脈炎である。罹患動脈が側頭動脈など頭蓋領域内の動脈に限局する〔頭蓋型GCA(cranial GCA)〕場合のほか,頭蓋領域外の大血管やその第一分枝も罹患部位となりうる〔大血管型GCA(large-vessel GCA:LV-GCA)〕。リウマチ性多発筋痛症を合併することが多い。眼動脈が侵されたときは失明の危険もあるため,治療を優先する。

    ▶診断のポイント

    発熱,倦怠感,筋痛など全身性炎症症状のほか,局所症状として,側頭部の頭痛,側頭動脈の腫脹・圧痛,顎跛行,舌跛行,下顎痛などがある。眼動脈が侵されると,視力低下・消失,視野異常,霧視などをきたす。炎症反応は通常高値で,慢性炎症に関連した所見がみられる。抗核抗体,抗好中球細胞質抗体などの自己抗体は陰性であり,特徴的な血液診断マーカーはない。CTおよびMRIで,大動脈やほかの動脈壁の肥厚,壁の造影効果がみられる。超音波検査では,浅側頭動脈壁の浮腫による“dark halo sign”がみられる。

    1990年の米国リウマチ学会の分類基準では,病理診断なしでもGCAと分類可能ではあるが,側頭動脈の生検をすることが推奨されている。大型血管炎の診断がついた場合には,罹患血管の範囲を評価するためにPET-CTが保険適用となっている。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    眼病変や神経症状の有無で,初期治療の強度が異なるため,罹患部位の評価を素早く行う。可能な限り側頭動脈生検を行うようにするが,臨床所見や画像からGCAがほぼ確実に診断される例では,生検のために治療開始を遅らせるべきではない(可能であれば開始後1~2週のうちに行う)。GCAはステロイドに対する治療反応性は良好な病態であるため,まずはステロイド投与を開始する。

    GCAの診断がつき次第,疾患活動性に応じ中等量から大量(プレドニン®換算0.5~1mg/kg/日)のステロイドを投与する。眼病変や神経症状がある場合には,ステロイドパルス療法を行った後に大量(プレドニン®換算1mg/kg/日)のステロイドを投与する。ステロイドが奏効した場合は2~4週間ほどから減量を開始し,寛解した場合は半年後には10mg/日程度をめざし,18~24カ月後には中止をめざす。しかし,漸減した際に再燃することも少なくないので,注意が必要である。

    効果が不十分なときや早くステロイドを減量したいときは,トシリズマブ(アクテムラ®)の使用が推奨されている。しかしながら,実際にどのタイミングで開始すべきかについてはまだ推奨されてはいない。ついで,メトトレキサート(リウマトレックス®,保険適用なし),エンドキサン®(シクロホスファミド)パルス療法が推奨されている。患者背景(年齢・肺・腎・骨髄障害など)や疾患活動性,ステロイド量など十分勘案した上で,どの薬剤を使用するか慎重に決める必要がある。可能な限りいずれかを併用し,GCAの疾患活動性の抑制と早期のステロイド減量を図る。

    ステロイド,免疫抑制薬の開始前には,感染症のリスク評価として,B型肝炎,C型肝炎の既往も含めた検査,結核(問診,胸部X線,CT,T-SPOT,IGRA),β-D-グルカン,抗MAC抗体(抗GPL抗体IgA)などを施行しておき,陽性の場合は予防策を講じる。

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