株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

RS3PE症候群[私の治療]

No.4981 (2019年10月12日発行) P.49

南木敏宏 (東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野/東邦大学医療センター大森病院リウマチ膠原病センター(膠原病科)教授)

登録日: 2019-10-11

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • RS3PE症候群は,remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edemaの略であり,寛解する,圧痕を伴う浮腫を伴う血清反応陰性の対称性滑膜炎を特徴とする疾患である。1985年にMcCartyらが最初に報告したものであり1),比較的新しい疾患概念である。

    ▶診断のポイント

    60歳以上の高齢者に急性発症する,左右対称性の手指,手,足,足趾などの関節炎を生じ,手背,足背の圧痕性浮腫がみられる。男女比は1:1~2:1とやや男性に多い。血液検査では,赤沈の亢進,CRP上昇などの炎症反応がみられるが,リウマトイド因子,抗環状シトルリン化ペプチド(cyclic citrullinated peptides:CCP)抗体,抗核抗体などは陰性である。関節X線において骨破壊は認めない。関節エコーやMRIでは,滑膜炎,腱鞘炎がみられる。特徴的な臨床所見や,検査結果により診断する。

    悪性腫瘍の合併がみられることがあり,本疾患を疑う際には全身の悪性腫瘍のスクリーニング検査が必要となる。感染症の鑑別も必要である。また,糖尿病に用いるdipeptidyl peptidase 4(DPP-4)阻害薬の投与により本疾患と類似の症状がみられることがあり,患者の内服薬の確認も必要である。免疫チェックポイント阻害薬である抗programmed death-1(PD-1)抗体の投与による発症も報告されている。

    鑑別診断としては,高齢発症の関節リウマチ,リウマチ性多発筋痛症などが挙げられる。これらは本疾患を含め高齢発症であり,関節症状を呈する。高齢発症の関節リウマチではリウマトイド因子や抗CCP抗体陰性例も多く,リウマチ性多発筋痛症も一般に自己抗体はみられない。RS3PE症候群は手背,足背の浮腫を特徴とすることにより鑑別を行うが,鑑別に苦慮することも多い。

    病因は不明であるが,HLA-B7,-CW7,-DQW2との関連が報告されている。また,ウイルス感染などとの関連も報告されている。一方,血中の血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)濃度の著明な上昇が認められており,病態との関連や,診断の一助となる可能性が指摘されている。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    治療はプレドニゾロン10~15mg/日の低用量ステロイドで治療を開始する。一般に,ステロイドに対する反応性は良好である。ステロイドは2~4週程度初期量で投与し,疾患活動性が落ちついた後,2~4週に10%ずつ減量していく。

    初期ステロイドに反応しない場合は,ステロイドの増量や,メトトレキサートの追加投与を検討する。また,ステロイド減量中に再燃することもある。その場合は,ステロイドの再度の増量,メトトレキサートの投与を検討する。また,IL-6受容体に対する抗体製剤であるトシリズマブが有効であったことも報告されている2)。メトトレキサートやトシリズマブは,関節リウマチに準じた投与法になる。

    残り911文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top