【質問者】
渡邉直人 横浜市立みなと赤十字病院アレルギーセンター喘息アレルギー内科部長
【今後,抗IL-5抗体とステロイドの併用が標準治療となることに期待】
EGPAは,喘息患者において好酸球性血管炎とそれによる諸症状を呈する比較的稀な(17.8人/100万人・国内に約1900人)疾患です1)。喘息患者が手足のしびれや麻痺・脱力などの神経症状を訴えた際には,本疾患の可能性を必ず疑う必要があります。血管炎に基づく神経症状は,四肢のみならずあらゆる部位に起こりえるので,ほかの疾患で説明がつかない肺外症状がある際にも,本疾患を鑑別診断に挙げるべきです。
鑑別診断のゴールドスタンダードとして,厚生労働省の診断基準2)が存在します。実臨床における診断のポイントは,①末梢血好酸球増多(通常必発です),②神経症状(多発性単神経炎による感覚障害/運動麻痺:下肢に生じることが多く,片側性のこともあります),③皮疹(神経症状発現部位周辺に生じる赤紫色の丘疹が典型的)です。皮疹部位の皮膚生検などで本疾患の特徴的所見(白血球破砕性血管炎と血管外肉芽腫)を証明できれば,組織学的確定診断となります。血清抗好中球細胞質抗体(myeloperoxidase-anti-neutrophil cytoplasmic antibody:MPO-ANCA)値は約50%で陽性であり1)2),通常血清IgE値の上昇も認められます。
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