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各感染症の出席・出勤停止期間は?【まとめてみました】

No.4927 (2018年09月29日発行) P.8

齋藤 翔 (国立国際医療研究センター国際感染症センター )

石金正裕 (国立国際医療研究センター国際感染症センター )

登録日: 2018-09-27

最終更新日: 2018-09-26

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感染症における出席・出勤停止期間について

外来診療や院内感染対策に従事していると、出席・出勤停止期間について相談されることが多々あるかと思われる。基本的には学校保健安全法1)に記載されている内容などを参考に対応を検討するが、判断に迷う場合や現場の状況に完全に適した記載がない場合もある。本稿では、流行性角結膜炎やマイコプラズマ肺炎に罹患後の出席・出勤停止期間、ムンプスを疑う医療スタッフの出勤停止などについて例を示していく。実際の現場で少しでも皆様のお役に立てば幸甚である。

流行性角結膜炎

流行性角結膜炎はアデノウイルスにより引き起こされ、主に手を介した接触感染により周囲に感染を広げる。主な症状は充血、流涙、目やに、眼瞼浮腫、眼瞼の濾胞で、発症してから約1週間の間に症状のピークがあり、その後徐々に改善していく。潜伏期間は2~14日で、発症から2週間は感染性がある2)

学校保健安全法では出席停止の期間として、「症状により学校医その他の医師が感染の恐れがないと認めるまで」とされているが、現実には判断が難しいところである。病気のみをとらえるのであれば14日間の出席・出勤停止が理想的なのかもしれないが、臨床症状が消失した後に自宅安静を解除としているガイドラインもある3)。なお当院では、感染管理にかかわる様々な要素を総合的に判断し、診断後は自宅安静とし、臨床症状が消失した1日後から自宅安静を解除している。ただし、免疫不全患者などハイリスクな患者に接する医療スタッフが罹患した場合には、より長期間の就業制限を考慮する必要がある4)。また、流行性角結膜炎は発熱しないため、保護者の認識が甘くなりがちである。目が赤いだけだからと通園を続けているケースもあるため、特に院内に保育所を有する場合は、保育所側と定期的に情報共有を行うなどの注意が必要である。院内保育所における流行性角結膜炎の集団発生の報告があるが5)、疾患の特性上、表に出てこない例を含めると、それなりの集団発生数があるのかもしれない。

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