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「タミフル」の10代使用制限を解除 ─異常行動への注意喚起は継続[医療安全情報UpDate]

No.4923 (2018年09月01日発行) P.16

登録日: 2018-08-30

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厚生労働省は21日、抗インフルエンザウイルス薬7剤の添付文書改訂を日本製薬団体連合会に指示した。
「タミフル」(一般名:オセルタミビル)については、服用後の異常行動による転落死事例を理由に10代への使用を「原則として差し控える」としていた「警告」の記述を削除する。インフルエンザ罹患時には、薬の種類や服用の有無に関係なく異常行動が発現するという、厚労省研究班の調査報告に基づく判断。
一方、タミフルを含む7剤全てで、服用した小児・未成年者が自宅療養を行う場合の注意喚起は継続する。医療従事者に対し、保護者等に発熱から2日間は転落等の事故防止策を講じるよう指導を求める。具体的な対策としては、▼全ての部屋の窓と玄関を確実に施錠する、▼ベランダに面していない部屋で寝かせる、▼一戸建ての場合はできる限り1階で寝かせる―などが示されている。
タミフル投与を巡っては、服用した中学生が転落死する事故が相次いだため、2007年以降、合併症やハイリスクの症例を除いて10代への使用を原則として差し控えるとされてきた。「リレンザ」(一般名:ザナミビル)、「イナビル」(同:ラニナミビル)、「ラピアクタ」(同:ペラミビル)など、他の抗インフルエンザウイルス薬の添付文書にも異常行動に関する注意喚起はあったが、使用制限は設けられていなかった。
厚労省研究班の分析によると、2009/10シーズンから16年3月の10代における異常行動の報告数(100万処方当たり)は、タミフル6.5例、リレンザ4.8例、ラピアクタ36.5例、イナビル3.7例で、未服用の患者でも8.0例だった。これらの調査結果を基に、厚生科学審議会の安全対策調査会は5月の会合で、10代への投与制限を解除することで一致していた。

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