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診療所経営の教科書 院長が知っておくべき数値と事例

統計データを一新! 待望の改訂版

定価:4,860円
(本体4,500円+税)

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監修: 大石佳能子(株式会社メディヴァ・コンサルティング事業部)
執筆: 小松大介(株式会社メディヴァ・コンサルティング事業部)
判型: B5変型判
頁数: 242頁
装丁: カラー
発行日: 2017年09月29日
ISBN: 978-4-7849-4378-4
版数: 第2版
付録: -

数値と事例でひもとく「診療所経営の教科書」

  • 激変する医療環境の中で、自院が10年後、20年後も生き残るためにはどうすればよいか? 詳細な市場分析と将来予測に基づく「診療所の生き残り戦略」。
  • 健全経営の目安となる「数値」を提示。各種統計データに加え、独自のマーケティング手法ではじき出した経営指標を、カラーグラフでわかりやすく視覚化。
  • 著者自ら事務長として経営再建やトラブル解決にあたった「事例」をもとに、増患対策や人事・労務管理のコツを紹介。
  • 改訂版は、全統計データを更新するとともに、在宅医療に関する項目を大幅に拡充、約40ページ増となっています。

目次

第1章 数値で読み解く診療所経営

1. 診療所経営の概略
 1.1 診療所の外来患者数は40人/日
 1.2 個人診療所の年間売上は平均9,095万円、利益は2,675万円
 1.3 初・再診料と医学管理料で粗利の5割
2. 経営・臨床指標の目安
 2.1 初診率の目安は10%
 2.2 診療圏は都心で半径500 m〜1  km、郊外で半径3 km
 2.3 内科開業に必要な背景人口は2,000人弱
3. 診療所財務の実態
 3.1 内科診療所の損益分岐点は年収6,000万円
 3.2 リース料率1.8%と金利3.1%は同じ
 3.3 借入金は売上高の1.5倍まで
 3.4 設備投資は年間平均220万円
4. 労務にまつわる事実
 4.1 人件費は売上対比50%以下に
 4.2 看護師の人件費は年478万円で上昇中
 4.3 毎年15 %のスタッフが辞めていく
5. 患者の動向
 5.1 外来患者の4分の1は高血圧、1割は糖尿病
 5.2 来院頻度は平均2週間に1回
 5.3 医師1人当たり外来患者数は今後20年で10%減少
6. 在宅医療の実態
 6.1 36万人の看取りができない
 6.2 外来40人/日と在宅53人/月は同じ収支
 6.3 在宅看取りの約半数は末期癌患者
7. 医療機関の動向
 7.1 診療所数トップ5は、内科・整形外科・小児科・精神科・外科
 7.2 診療所の開業は年7,600件
 7.3 診療所は増え続け、病院は減り続けている
8. 患者動向の変化を見通す
 8.1 認知症患者が急増し、生産年齢人口の15人に1人に
 8.2 死因トップ3は悪性新生物・心疾患・肺炎
 8.3 65歳以上になると入院患者は6倍に
9. 日本の構造変化を甘く見ない
 9.1 もうすぐ人口の30%が高齢者になる
 9.2 65歳以上の医療費が全体の55%を占める
 9.3 医療費の税負担は国家予算の16%

第2章 事例でみる診療所経営のポイント

1. 本当に効果のある増患対策
 1.1 地域で知られていないことを知る
 1.2 初診患者を集めなければ何も始まらない
 1.3 継続患者・再診患者こそが宝
 1.4 失敗事例から学ぶ集患のポイント
 1.5 営業も重要な集患の手段
 1.6 予約システムは診療スタイルとの相性で選ぶ
2. クリニックにおける競合と連携
 2.1 強い競合には近づかない
 2.2 見方を変えれば連携は可能
 2.3 ネットワークで総合診療を実現する
3. 人事管理・労務管理の表と裏
 3.1 そもそも安定していないスタッフの雇用
 3.2 モチベーションを上げるための仕掛け
 3.3 退職の際は、思いやりと愛情で
 3.4 看護師の一斉退職を止める
 3.5 スタッフの声にならない声を聞く
4. 組織マネジメント
 4.1 効果的な会議運営のポイント
 4.2 活躍する事務長の条件
 4.3 親族経営の功罪
5. コストの適正化
 5.1 医療機器の投資判断
 5.2 仕入れ価格、委託費のコスト削減
 5.3 人件費の適正化
6. 在宅医療への取り組み
 6.1 在宅医療を提供する医療機関の類型
 6.2 24時間の連携体制をいかにして構築するか
 6.3 在宅医療の運営と地域連携
7. 地域に根ざした事業展開
 7.1 医師会との適度な距離感をつかむ
 7.2 介護事業・住宅事業への展開
 7.3 遠隔医療への取り組み
 7.4 自由診療の分野での事業展開

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序文

診療所の経営は、一昔前はどんぶり勘定でも大丈夫でした。診療報酬がふんだんに付いていて、競争も厳しくなかったので、よほど無茶な投資でもしない限り経営は安泰だったのです。今は、そうはいきません。数字をきちんと把握した、科学的な経営が求められます。

 私たちの会社メディヴァは、医療機関の専門的なコンサルティングと運営支援を目指して2000年に設立しました。これまでに開業をお手伝いした診療所は100件を超えます。手前味噌ですが、どの診療所も、経営はとても上手くいっています。医療機関の経営が年々難しくなっている中で、これらの診療所はなぜ成功したのでしょうか?
 それは、開業された先生方のご努力によるところも大きいのですが、同時に「経営には成功の方程式があり、その方程式に則って経営した」からだと思っています。経営は科学です。科学は、つまるところ数字とその解釈です。

 この本の第1章は、診療所経営にまつわる大事な「数字」と、それを「どう解釈するか」をまとめました。
 たとえば、「外来患者数=1日40人」はマジックナンバーです。40人は、全国の診療所の平均的な来院患者数です。また、40人という患者数は、院長先生にとって勤務医の所得を越えるための条件でもあります。
 同じく「初診率は10%程度」、「背景人口は2,000人必要」といった診療所経営の目安となる重要な数字があります。これらの数字を認識し、その背景にある考え方を理解することで、経営の方程式が解けるようになります。

 第2章は、私たちが診療所の運営や再生の支援を行う中で、実際に経験した事例にもとづいて書いています。
 読んでいただくとわかりますが、すべてが上手くいったケースではありません。なかには、失敗された先生の例や厳しい再生事例も含まれています。そのような例をあえて載せたのは、失敗した事例を、先生方の経営に活かしていただければと思ったからです。


 2013年に上梓した初版は、お蔭様でご好評をいただき、多くの医師や医療関係者に読んでいただきました。世に出して良かった、と思う本でしたが、その後の医療財政は厳しく、診療所の経営はますます困難になっています。また、時代の流れの中で、新たな数字やトピックが経営を考える上で必須となってきました。このような状況を踏まえて、今回の第2版を執筆しました。
 第2版では、すべての統計データを更新することはもちろんですが、大きな改訂箇所として「在宅医療」に関する項目を大幅に拡充しました。高齢化により外来患者が減り、地域包括ケアシステムが進む中、在宅医療は診療所経営に欠かせない要素となっています。また、法整備はまだ途中ですが、今後重要になってくるであろう「遠隔診療」に関する項目も加えました。

 この本で扱う数字には、大きく分けてミクロのものと、マクロのものがあります。ミクロの数字とは、たとえば損益分岐点や人件費率のように、診療所単位の経営指標にあたるものです。マクロの数字とは、疾病構造、医療費などの世の中の大きな動きに関連するものです。
 経営者である院長先生は、どうしても目の前のミクロの数字に目が行きがちです。今日は何人患者さんが来院した、今月はレセプト枚数が増えた(減った)、人件費が増えた(減った)などの目先の数字が非常に気になります。
 一方で、診療所経営においてはマクロの視点も不可欠です。開業すると、通常はその場所で20年、30年と診療を続けることになります。20年後に医療の需給バランスがどうなっているのか? それを支える財源はあるのか? どういう患者さんが増えて、自院はそれに対応できるのか? 等々、将来起こりうるシナリオを想定し、その対策を考えておくことは重要です。

 このような課題に答えを見つけることは容易ではありませんが、この本が診療所経営におけるミクロとマクロの視点を提供し、健全な経営を考えるための一助となることを願っています。

2017年9月  大石佳能子

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