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当直でよく診る骨折・脱臼・捻挫 研修医☆万里小路尚子の当直サバイバル日誌

整形外傷の初期治療がわかる! 研修医・当直医必携の一冊

定価:5,280円
(本体4,800円+税)

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著: 渡部欣忍(帝京大学医学部教授・整形外科学)
判型: B5判
頁数: 296頁
装丁: カラー
発行日: 2017年05月26日
ISBN: 978-4-7849-4615-0
版数: 第1版
付録: -

『救急車が来ないかとビクビクしながら、初めて一人で当直をしたのが、まるで昨日のことのようです。Common fractureはもとより、打撲や捻挫といった簡単な外傷ですら、診察の仕方も、X線写真の見方も、初期治療も自信がなかった頼りない30年前の自分です。そんな自分への贈り物のつもりで、本書を執筆することにしました』——序文より

  • 救急・当直で必ず遭遇する「転倒」「転落」「子供のケガ」。
  • 初心者が骨折を見落とさないためにはどうすればよいか?
  • ギプスかシーネか? コンサルトの判断は? 
  • 写真と図を多用して、初期治療の要点を明快に解説しました。

目次

第1章 股関節・大腿骨
基礎知識
転倒から数日後の股関節痛
転倒後に立てなくなった高齢女性
外傷歴のない股関節痛
ランニング中の股関節痛

第2章 膝関節・下腿骨
基礎知識
サッカー中の受傷による膝痛
着地時に膝を捻って受傷
風呂場で転倒、膝を打撲
転倒後の下腿痛
受傷後数日たってからの膝腫脹
階段から落ちて受傷、立位不能

第3章 足関節・足
基礎知識
足関節の捻挫
足部の腫脹と皮下出血
足部外側の圧痛
足関節後方の激痛
足関節の強い変形と腫脹
高所から落下して踵部を受傷

第4章 肩関節・上腕骨
基礎知識
転倒後の肩の激痛
男児が鉄棒から落下して肩を打撲
重い物を持った後の上腕の違和感
突然の痛みで肩が動かせない
高齢女性、転倒後の肩痛
バイクで転倒、肩痛と運動制限
ロードバイクで転倒、肩を打撲

第5章 肘関節・前腕骨
基礎知識
転んで手を突き、肘を痛めた男性
上腕骨顆上骨折
上肢を動かさない幼児
肘関節の脱臼
転倒して肘を打撲
腕を動かさない認知症患者

第6章 手関節・手
基礎知識
転倒時に手を突いて受傷
パンチによる手背部痛
手関節痛(腫脹・変形なし)
野球選手の手掌の疼痛
子供の手関節痛
急に手首が動かなくなった!

第7章 脊椎・体幹
基礎知識
追突事故による頚椎・腰椎捻挫
側胸部の打撲
受傷機転不明の左胸部痛
高齢女性の背部痛
鎖骨骨折

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序文

30年前の頼りない研修医へのプレゼント

本書は、整形外科を専門にはしないけれど、当直などで整形外傷の初期治療をしなければならない医師をメインの読者として書かれています。また、比較的重症度の低い整形外傷の診断や治療を概観するためのマニュアルでもあるので、整形外科をめざす初期研修医にとっても有用な書籍になるかもしれません。

日本医事新報社の編集部から、「整形外科を専門にしない医師向けの当直マニュアル」を書いてもらえないかというお話があったとき、私の正直な気持ちは、「そのような書籍は、今ではいっぱいあるんじゃないの?」でした。

ちょうど30年前に、私は16名の同僚とともに、ノイヘレンとして医師の歩みをはじめました。多くの大学病院がそうであったように、大学附属病院で外傷を学ぶ機会は決して多いとはいえませんでした。しかし、医師になって半年も経てば、一人で当直業務はしなければなりませんでした。当時は現在と比べて、図や写真が豊富な書籍は少なかったし、勿論インターネットなんていう便利なものはありません。研修医を終えて出向した関連病院で、整形外傷をはじめて学ぶという人も多かった時代でした。

救急車が来ないかとビクビクしながら、はじめて一人で当直をしたのが、まるで昨日のことのようです。Common fractureはもとより、打撲や捻挫といった簡単な外傷ですら、診察の仕方も、X線写真の見方も、初期治療も自信がなかった頼りない30年前の自分です。そんな自分への贈り物のつもりで、本書を執筆することにしました。

疾患の概要・診断・治療法を列記するという一般的な教科書は、本書よりずっと詳しいものが多数出版されています。頭の良い人は、文字を読むことで疾患を理解して対応できるのですが、私のような凡人は、実際に診療を経験して、先輩から叱られて、はじめて文章で書かれた内容を理解できるようになったのではないかと思うのです。そこで、本書は、一般的な教科書と、私のような鈍くさい医師との間を補完できるような書籍にしたつもりです。

整形外科医を目指している研修医・万里小路尚子(までのこうじ・しょうこ)を主人公にして、彼女を指導する整形外科から救急科へ出向中の指導医・猪熊亮一(いのくま・りょういち)と、それを取り巻く医師やナースとの対話を中心に話を展開しています。疾患と患者さんについては、もとになる外傷モデルは当然ありますが、受傷状況や年齢、ときには性別も変えてあります。医師、コメディカル、家族、友人などを含めて数名の登場人物が出てきますが、いずれも特定のモデルを想定していません。

また、どんな分野でも専門家になればなるほど、例外事項やあいまい事項が多くなります。その結果、すべてをできるだけ正確に記そうとして、結局、初心者には難しくなって焦点がずれてしまいます。本書は、独断と偏見で難しい話はすっ飛ばして、簡略化して話を進めています。細かいところは概略を知ってから勉強する方が効率的でもあります。

できるだけ多くの図と写真を入れたので、わかりやすくなっていると思います。特に、図の作成はかなり大変な作業だったようで、対応してくださった皆様にこの場を借りて深謝いたします。

若い先生達や外科系当直をされる先生達が、当直の合間にでも手に取って読んでくだされば幸いです。また、本書を読んで、整形外科や整形外傷に興味をもってくださる学生や研修医が増えれば、それ以上の喜びはありません。

平成29年4月14日
渡部欣忍

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