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無刀流整形外科 メスのいらない運動器治療

【2017年日本整形外科学会売上第2位】運動器を巡る最新の知見から読み解く、“メスのいらない”運動器治療の神髄

定価:7,992円
(本体7,400円+税)

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編著: 柏口新二(国立病院機構徳島病院 整形外科/東京明日佳病院 整形外科)
判型: AB判
頁数: 320頁
装丁: カラー
発行日: 2017年05月31日
ISBN: 978-4-7849-4620-4
版数: 1
付録: -

「先生、その手術、本当に必要ですか?」

運動部に所属する小児やスポーツ選手、そして高齢者に多い運動器疾患。
競技生活を長期離脱するリスクや患者のQOLへの多大な影響もあり、「悪くなったら手術」が主流だった運動器治療はもはや過去の話となりつつあります。

“無刀流”とは、エコーやCT、MRIを駆使して患部の的確な診断を進め、痛み/機能不全の原因とリスクを見極め、できるだけメスを使わずに最低限の侵襲と運動療法で機能を回復させる運動器治療のこと。

本書では運動器疾患を「切らずに」治し、メスを入れる時は「自信を持って」行うために必要な“無刀流整形外科”最新の知見・技術を、運動器治療のエキスパート達が余すところなく伝授します。

「fasciaリリース」など運動器を巡る話題のトピックも詳しく解説。
運動器疾患を診る医師だけでなく、運動療法に携わる理学療法士、作業療法士、トレーナーの方々にもオススメです!

目次

第1章 メスのいらない運動器治療のために
1 次代を担う運動器治療家へのメッセージ 
多元的な痛みへの取り組み
菊地臣一 福島県立医科大学 常任顧問/ふくしま国際医療科学センター常勤参与

2 運動器疾患の診断 
五感を動員:何を聞き、何を見るか
皆川洋至 医療法人城東整形外科 診療部長

3 運動器疾患の治療
ボディ・メカニクスの異常を知る
柏口新二 国立病院機構徳島病院 整形外科/東京明日佳病院 整形外科

4 fasciaの構造と痛みについて
置き去りにされた人体最大の未開領域
小林 只 弘前大学医学部附属病院 総合診療部 助教
銭田良博 株式会社ゼニタ
木村裕明 木村ペインクリニック 院長

第2章 痛みへの対応 部位・症状別解説
1 二足歩行の宿命? 腰痛について
紺野慎一 福島県立医科大学整形外科学講座 主任教授
渡邉和之 福島県立医科大学 整形外科学講座 助教

2 fasciaの概念からみた腰背部痛 
筋膜性・仙腸関節性・椎間関節性・椎間板性・神経性の病態分類と治療法の融合を目指して
小林 只 弘前大学医学部附属病院 総合診療部 助教
吉田 眞一 よしだ整形外科クリニック 院長
加藤 欽志 福島県立医科大学 整形外科学講座 助教
木村裕明 木村ペインクリニック 院長

3 股関節周囲・骨盤の痛みとその対応
仁賀定雄 JIN整形外科スポーツクリニック 院長

4 投球傷害肩への対応
菅谷啓之 船橋整形外科病院 スポーツ医学・関節センター長

5 中高齢者の肩痛への対応
皆川洋至 医療法人城東整形外科 診療部長

6  肘のスポーツ外傷・障害への対応① 
離断性骨軟骨炎の実態と対応
松浦哲也 徳島大学医学部 運動機能外科学 准教授

7 肘のスポーツ外傷・障害への対応② 
投球による内側側副靱帯損傷の実態と病態
宮武和馬 横浜市立大学 運動器病態学教室
柏口新二 国立病院機構徳島病院 整形外科/東京明日佳病院 整形外科

8 半月板損傷への対応
木村雅史 善衆会病院 理事長・院長

9 下腿と足部の痛みへの対応
熊井 司 早稲田大学スポーツ科学学術院 教授

第3章 身体機能への対応 
1 スポーツ現場の声
スポーツ現場が医療関係者に求めるもの
能勢康史 NPO法人野球共育塾 理事長

2 体幹・骨盤帯の機能改善
機能評価とアプローチ
春山若葉 JCHO東京新宿メディカルセンター リハビリテーション室 理学療法士
濱中康治 JCHO東京新宿メディカルセンター リハビリテーション室 副理学療法士長

3 胸郭- 骨盤帯(骨盤輪・股関節)の機能改善
機能評価とアプローチ
畑中仁堂 じんどう整骨院アスリート

4 肩傷害の機能改善
機能評価とアプローチ
仲島佑紀 船橋整形外科市川クリニック 理学診療部 副部長

5 肘傷害の機能改善
機能評価とアプローチ
濱中康治 JCHO東京新宿メディカルセンター リハビリテーション室 副理学療法士長

6 下肢機能の改善
機能評価とアプローチ
梅村 悟 東京明日佳病院 リハビリテーション科 理学療法士
田中尚喜 JCHO東京新宿メディカルセンター リハビリテーション室 士長/理学療法士

コラム
・「スポーツ外傷」と「スポーツ障害」の違いとは?
岡田知佐子 JCHO東京新宿メディカルセンター 整形外科 部長

・肉離れとは違う「筋膜内解離」という病態とは?
皆川洋至 医療法人城東整形外科 診療部長

・半月板損傷を放置した場合,どのような経過をたどるのでしょうか?
木村雅史 善衆会病院 理事長・院長

・アスリートの肘関節脱臼の治療は無刀流ではなくメスを選択する?
宮武和馬 横浜市立大学 運動器病態学教室
柏口新二 国立病院機構徳島病院 整形外科/東京明日佳病院 整形外科

・「有痛性筋拘縮」「有痛性筋硬結」とは?
柏口新二 国立病院機構徳島病院 整形外科/東京明日佳病院 整形外科

・スロートレーニングは“楽々トレーニング”なのですか?
柏口新二 国立病院機構徳島病院 整形外科/東京明日佳病院 整形外科

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序文

編集にあたって

 歴史を振り返ると、近代医療の進歩は検査機器の開発と密接な関係があることがわかります。19世紀末にレントゲンが発見したX線により骨や肺野の異常を画像として捉えることができるようになりました。20世紀後半にはX線CTにより病像や障害を立体的に捉えることができるようになり、さらにMRI(磁気共鳴装置)によりX線では捉えることができなかった軟部組織や硬組織の異常を画像に捉えられるようになりました。こういった器機の開発により運動器の診断や治療は飛躍的に進歩しました。

 しかしこういった最新の器機をもってしても今なお解明できない痛みや機能障害があり、患者さんを前に頭を抱えることがあります。

 21世紀に入り、超音波診断装置(エコー)により運動器の治療は新たな局面を迎えつつあります。これまでエコーは主に消化器や循環器の診断、治療に使われ、運動器の分野では乳幼児の股関節脱臼の診断に使われるくらいでした。しかしこの10年で、画像処理や焦点深度の調整などにより、皮下組織、筋肉、神経、靱帯や腱などの軟部組織だけでなく、骨や軟骨等の硬組織に対しても高解像度の画像が得られるようになりました。エコーはMRIより解像度が高く、何層にも重なるfasciaのどこに問題があるかを視覚で捉え、その部位を正確にリリース(hydrorelease)することができます。この手技により靱帯再建や神経剥離術を適応する症例が激減しています。またfasciaそのものの概念も変わりつつあり、筋膜だけではなく神経や腱、靱帯などを覆う膜も含まれ、日進月歩に定義が変わっています。本書の中では、そういった最新の情報を紹介し、技術の一端を披露していただきました。

 当たり前のこととお叱りを受けるかもしれませんが、運動器の治療において最も重要なことは患者さんを直接に診ることではないでしょうか。よく話を聞き、身体に触れて、身体機能を評価し、病態を考察することです。これからの医療を担う若人のために、菊地臣一先生をはじめとして、各界の第一人者の先生にその極意を述べていただきました。長年の診療で培った技術だけでなく、随所に医療哲学が詰まっています。そこを学び、感じ取っていただきたいと思います。

 外科医は技術の習熟と経験により、手術の際に健常部を可能な限り障らず、必要最小限の侵襲で目的を果たすことができるようになります。これが低侵襲手術です。これをさらに推し進めて、できるだけメスを使わず、的確な診断と最小限の侵襲での処置、そして運動療法で機能を回復させる。これが我々の目指す「無刀流の整形外科」です。

国立病院機構徳島病院 整形外科/東京明日佳病院 整形外科
柏口新二

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レビュー

【書評】整形外科医のみならず、一般の方にも一読を薦めたい。『無刀流整形外科』に「一本あり」

尾身 茂(名誉世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局長 /(独)地域医療機能推進機構(JCHO)理事長)
タイトルからして興味深い。実は私は「有刀流」である。子どものころから剣道が大好きで、高校時代米国に留学(1967~68:AFS)したときも竹刀を持参し、米国の友人達に剣道を披露した。ところが、長いWHOの海外勤務で剣道のことは頭の中からすっかり消えていた。

そうした中、たまたまマニラの自宅で「昭和の剣聖」と言われた持田盛二名人が、脂の乗り切った若い剣士に稽古を付けている衛星番組を観た。若い剣士が80歳近い名人を果敢に攻めるが、あたかもすべての動きが見透かされているようでまるで歯が立たない。名人の動きは悠然として無駄がない。高校時代、剣道はスポーツだと思っていたが、この番組のメッセージは明確で「剣道には『心』『技』『体』が重要だが、高齢者になれば『心』で行う」というものであった。私はこれに強く惹かれた。

5年前、63歳のとき、半世紀ぶりに東京中野の興武館で剣道を再開した。不思議なことに、稽古が始まると過ぎ去りし青春時代が戻ってくる。ところが「心」は青春に戻っても、「体」は既に前期高齢者だ。肩や腰が悲鳴を上げ、特に膝には水が溜まり、せっかく再開した剣道を断念せざるをえないと思った。

こうした中、この『無刀流整形外科』の編著者であり、当時、独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)東京新宿メディカルセンターに勤務していた柏口先生に診察を仰ぎ、ストレッチに筋トレを加味したリハビリを開始した。不思議なことに、半年も経つと痛みは消失した。現在も教えられた筋トレとストレッチを継続しているためか、40代の頃よりも体が柔らかくなったと感じている。

もちろん手術の適応になる疾患もいまだあると思われるが、ほとんどの疾患にメスは不要とのこと。これはまさに福音である。本書は整形外科の医師のみならず、一般の方にも一読を勧めたい。『無刀流整形外科』に「一本あり」。

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★★★★★運動器治療の望まれた一歩

Amazonレビューより(2017/5/25)
これまで手術前提の保存療法の意義が、多職種との融合可能な積極的保存療法へ変わることを示唆した内容です。
本書により保存療法意義が高まりますが、整形外科医の専門性と価値がより一層が高まると推測されます。
医師以外もぜひ手にとっていただきたい書籍です。

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正誤情報

下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。

・ 編者の所属に誤りがございました

〈誤〉「東京明日桂病院 整形外科」→〈正〉「東京明日佳病院 整形外科」

※上記の誤りは2刷以降では修正されております

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