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CASE01 持続する低血糖/会話の辻褄が合わないと受診した62歳男性[CAUTION! 臨床検査値の落とし穴]

No.4692 (2014年03月29日発行) P.6

今 明秀 (八戸市立市民病院副院長兼救命救急センター所長)

三浦一章 ( 八戸市立市民病院管理者)

登録日: 2014-03-22

最終更新日: 2017-08-02

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  • 【症例紹介】

    62歳の男性。既往歴,2型糖尿病でグリメピリド(アマリール®)3mg,ミグリトール(セイブル®)50mgを3錠内服。高血圧症でカンデサルタン(ブロプレス®)4mg内服。4日前より悪心と嘔吐,3日前より下痢が出現した。2日前に近医を受診し経過観察となったが,前夜まではいつもと変わらなかった。受診日午前6時の起床時から会話の辻褄が合わなくなった。家族はふざけているのだと思っていたが,2時間後も改善がないため救急要請した。下痢の家族内発症なし。最終摂食は前夜19時。経口糖尿病薬は前夜と今朝は休薬していた。血圧133/66mmHg,脈拍67/分,呼吸数11/分,体温35.6℃,意識(Glasgow coma scale;GCS)E4V4M6,眼球運動異常なし,瞳孔3mm正円同大,対光反射左右迅速,眼輪・口輪運動異常なし,顔面知覚異常なし,四肢筋力知覚異常なし,Barré徴候陰性,構音障害なし,血液検査とガス分析検査(表1)で低血糖を認めた。血液検査の結果が出る前にガス分析で低血糖がわかったので,50%ブドウ糖液40mLを静注した。30分後会話混乱はなくなり,見当識も改善した。血糖値は再検で180mg/dLであった。2時間経過観察したあとで帰宅させた。


    検査値のどこに悩んだか

    本例は,血糖検査から低血糖と容易に診断された。突然発症の嘔吐,会話混乱の鑑別として脳卒中も考えられたが,ひとまず50%ブドウ糖液40mLを静注して症状の変化を観察した。低血糖の原因は何か。食欲低下か,薬物過量か,sick dayか,それ以外か。血糖値正常化を確認したあとで帰宅させてよいのか,悪いのか。

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