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川崎病(冠動脈病変)

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-26
小野 博 (国立成育医療研究センター器官病態系内科部循環器科医長)
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  • ■疾患メモ

    川崎病(Kawasaki disease)の冠動脈病変は,急性期病変と後遺症にわけられる(冠動脈病変以外は「§22-52 川崎病(冠動脈病変以外)」参照)。

    第30病日以降の時点で確認された画像診断上の冠動脈異常を,冠動脈後遺症と定義する。

    第22回川崎病全国調査成績によると,急性期冠動脈病変は約8%,後遺症は約3%である。後遺症のうち巨大瘤0.18%,狭窄0.02%,心筋梗塞0.004%であった。

    一般的に小動脈瘤<4mm,4mm≦中等瘤≦8mm,8mm<巨大瘤と定義される(内径)。

    冠動脈病変は内膜および外膜の炎症細胞浸潤,その後の内弾性板や中膜平滑筋層の単球やマクロファージ,好中球などによる傷害が原因で起こる。

    長期的には,退縮瘤部における冠動脈の狭窄や拡張能の低下,血管内皮機能異常などを伴うことが報告されており,瘤退縮症例については注意深い観察が必要である。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    急性期:川崎病に関する症状以外では,心筋炎を合併していれば心不全症状が出現するが,冠動脈病変自体では症状はない。心筋梗塞を合併すると,胸痛,冷汗,末梢冷汗,呼吸不全,不機嫌,顔色不良,嘔吐などが出現する。破裂すればショック症状を呈し,時に致命的となる。

    慢性期:狭窄を合併すれば,労作時胸痛,呼吸困難,易疲労感などがみられる。心筋梗塞を合併すると,急性期の心筋梗塞時と同様の症状を呈する。右冠動脈は症状もなく閉塞することもある。

    【検査所見】

    心臓超音波:冠動脈の拡張をみる。また,瘤の直接描出を行う。冠動脈病変の分類・所見については表1に示した。

    22_21_川崎病(冠動脈病変)

    心臓MR:心筋虚血,線維化,形態の評価を行う。低年齢児での施行が可能である。

    冠動脈CT:年長児で心拍数が低い症例での形態評価に有用である。ただし,石灰化が強い症例の評価には難がある。

    冠動脈造影:左室造影,大動脈造影および選択的左右冠動脈造影を行う。

    心筋シンチグラム:心筋虚血,線維化などの評価を行う。

    安静時心電図:心筋障害の評価を行う。

    ホルター心電図:胸痛などを訴える場合に施行する。

    負荷心電図検査:虚血所見の検出に有用である。

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