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切迫流産・切迫早産

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-09-22
齋藤 滋 (富山大学医学薬学研究部産科婦人科学教室教授)
米田 哲 (富山大学医学薬学研究部産科婦人科学教室講師)
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  • ■疾患メモ

    切迫流産とは,妊娠22週未満に,切迫早産とは,妊娠22週以降妊娠37週未満に性器出血や子宮口の開大,子宮収縮を伴い,正期産に至る前に分娩に至る可能性がある疾患である。

    その発症時期(妊娠週数)が早期であるほど胎児の未熟性が強いため,その対応,治療方針が異なる。

    発症時期が早いほど子宮内の病原微生物の感染や高度の子宮内炎症を伴いやすいという大きな特徴がある。早期に分娩となるケースほど児の予後に大きく影響するため,慎重な対応が求められる1)

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    切迫流産:性器出血,下腹部痛。

    切迫早産:規則的な子宮収縮(陣痛),子宮口開大,性器出血。

    【検査所見】

    子宮頸管長,子宮口開大度:子宮頸管の状態を超音波検査により観察することが重要である。まず,胎盤後血腫など常位胎盤早期剥離の所見がないかを確認する。ついで,胎胞形成の有無を確認し,子宮頸管長を測定する。そのほか,羊水過多,胎児奇形の有無,および,母体水腎症の有無など子宮収縮を誘発する疾患の有無についても確認する。また,内診による子宮口の開大度を確認する。

    母体発熱,母体白血球数,CRP値:明らかな子宮内感染を伴っている場合には,妊娠の継続がきわめて困難である。母体頻脈,圧痛を伴う子宮や悪臭を伴う帯下の有無につきチェックし(2),臨床的絨毛膜羊膜炎(≒子宮内感染)を伴っているか判断する。母体発熱を認めた際,腎盂腎炎の可能性がないか尿検査にて確認しておく。

    21_05_切迫流産・切迫早産


    腟分泌物培養,頸管粘液中顆粒球エラスターゼ活性,腟分泌物中癌胎児性フィブロネクチン値:切迫早産の病態を反映するマーカーとして知られている。

    羊水中病原微生物:子宮内の感染については,母体白血球数,CRP値などから推定することが困難であるため,当科では患者の同意が得られた場合には,羊水検査にて子宮内の病原微生物の有無,および子宮内炎症の程度につき迅速かつ正確に判断し,治療方針を決定する際の参考にしている。

    胎児心拍モニタリング:胎児頻脈(>160bpm)・頻脈傾向,variabilityの消失・減弱など胎児への感染徴候がないか確認する。

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