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Bowen病様丘疹症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-25
谷川瑛子 (慶應義塾大学医学部皮膚科学教室専任講師)
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  • ■疾患メモ

    臨床的に,①外陰部に多発する黒褐色丘疹,②病理組織学的にBowen病と鑑別ができない,③若い年齢層に多い,という特徴を有するヒト乳頭腫ウイルス(human papillomavirus:HPV)感染症の1つであり,自然消退することもある。

    若年者では悪性化は稀で,予後は比較的良好とされる。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    外陰部,肛門周囲に生じる通常2~10mmまでの黒~褐色丘疹が散在または多発し,自覚症状はない。時に丘疹は集簇・融合して局面を形成する。表面平滑または疣贅様変化を呈する(図1)。

    20_28_Bowen 病様丘疹症(Bowenoid papulosis)

    外陰部に好発し,時に頸部,顔面,手指などにも生じる。

    若い年齢層に多い特徴を有する一方,60歳代以上の発症例もある。

    【検査所見】

    〈病理組織学的所見〉(図2

    20_28_Bowen 病様丘疹症(Bowenoid papulosis)

    Bowen病(carcinoma in situ)と同じ所見を示す。

    表皮肥厚と表皮全層細胞配列の乱れ,異型細胞の増殖を認める。

    核分裂像,集塊細胞(clumping cell),個細胞角化が特徴的である。

    疣贅様増殖をきたした場合の肥厚パターンは,尖圭コンジローマに類似する。

    【診断】

    臨床と病理組織で行う。

    鑑別診断は臨床的に尖圭コンジローマとの鑑別は難しいが,病理組織学的所見で鑑別する。そのほか,脂漏性角化症,扁平苔癬,Bowen病,色素性母斑,基底細胞癌などが鑑別疾患に挙げられるが,Bowen病以外は通常病理組織で鑑別が可能である。

    尖圭コンジローマと鑑別が難しい症例では,PCR法,in situ hybridization法で病変部高リスク型のHPV DNA(特にHPV16型)の検出が鑑別に有用である。

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