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機能性子宮出血

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
吉野 修 (富山大学大学院医学薬学研究部産科婦人科学教室准教授)
齋藤 滋 (富山大学大学院医学薬学研究部産科婦人科学教室教授)
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  • ■疾患メモ

    機能性子宮出血とは,妊娠や器質的疾患の存在を認めない子宮からの不正出血である。卵巣性ステロイドホルモンの分泌失調,不全を原因とする子宮内膜からの出血である。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    不正性器出血が症状である。

    出血の機序として,消退出血か,破綻出血によるものかを検討する必要がある。

    〈消退出血〉

    子宮内膜は卵巣性ステロイドホルモン(エストロゲン,プロゲステロン)の支配下にあり,エストロゲンにより子宮内膜は増殖し,排卵後に黄体から産生されるプロゲステロンにより子宮内膜は分泌像を示す。これらのホルモンの減少・消退により子宮内膜は剥脱し,消退出血を起こす。

    黄体機能不全では,黄体からのホルモンの分泌不全により消退出血を起こすことがある。

    正常婦人においても,排卵前に高値となったエストロゲン濃度の相対的低下に対して子宮内膜が反応し出血を起こすことがあり,中間期出血と言われる。

    〈破綻出血〉

    無排卵によりプロゲステロンが分泌されず,エストロゲン過剰な状態が続くことで子宮内膜の増殖過剰が起こり,出血をきたすことが主な病態である。

    【検査所見】

    消退出血,破綻出血の診断のために,基礎体温測定による排卵の有無と,出血の時期が月経周期のどの時期に位置するかを検討する。

    出血時のホルモン測定(LH,FSH,エストラジオール,プロゲステロン,テストステロン)は排卵の有無などの補助診断として有用である。

    高プロラクチン血症や甲状腺機能異常がみられることがある。必要に応じてプロラクチン,甲状腺ホルモンを測定する。

    器質的疾患の除外のために,子宮内膜や子宮頸部の細胞診は重要である。特に子宮内膜組織診は,悪性疾患の否定や内分泌環境を調べることができる。

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