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顎骨骨折

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
近藤壽郎 (日本大学松戸歯学部顎顔面外科学講座教授)
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  • ■疾患メモ

    殴打,交通事故,転倒や墜落,スポーツ,作業事故などにより,上顎骨,下顎骨,および両者が骨折した状態を顎骨骨折と言う。特に下顎骨骨折は顎骨骨折全体の約2/3を占め,上顎骨骨折より頻度が高い。男性に多い。20歳代に最も多く(29~53%),ついで10歳代に多い。以下,下顎骨骨折について略述する。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    顔貌の変形がみられる。原因としては顔面軟組織の損傷・出血,顎骨の変位にもよるが,多くは腫脹による修飾が大きく,片側性のものでは顔貌の非対称性がみられる。また自発痛,運動痛,骨折部位に一致した圧痛がある。

    下顎骨骨折では骨片偏位が特徴的に出現し,歯の咬合の変化が後方歯の早期接触や前方部開咬という形で出現する。下唇の知覚異常,知覚低下,知覚麻痺などは下顎角部・大臼歯部の骨折で偏位の大きな場合にみられ,下顎骨体中を通過する下歯槽神経が障害を受けたことに起因する。

    下顎の異常運動としては,咀嚼筋の拘縮による開口障害が認められることがある。下顎骨に付着する咀嚼筋群により骨片は転位をきたしやすい。

    正中部骨体骨折では開閉口時に骨折部がし開する。臼歯部骨体骨折では小骨片は閉口筋により挙上され,大骨片は開口筋により下内方に引かれることで骨折部にずれが生じる。

    下顎角部骨折では小骨片は上方へ引かれ,大骨片はわずかに下方へ引かれる。下顎頸部骨折では小骨片の多くは前内方へ引かれ,大骨片は患側に偏位する。粘膜や皮膚の裂傷・血腫・皮下出血など骨折部位に相応して生じることが多く,診断の参考となる。口底部では腫脹が強く,舌の挙上とともに舌運動傷害,嚥下障害をきたす。

    【検査所見】

    X線写真はオルソパントモグラィーにより全体像を把握し,必要に応じて他の撮影法を追加する。X線CTは有用な画像診断法なので,必ず撮影する。損傷部,腫脹部,疼痛部に骨折線が存在するかどうかを検討するとともに,全体像をもれなく精査して他部位骨折の合併を見落とさないようにする。

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