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咽頭癌(中・下咽頭癌)

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-25
猪原秀典 (大阪大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教授)
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  • ■疾患メモ

    咽頭癌は,病理組織学的にほとんどが扁平上皮癌である。

    煙草・酒の濫用が原因となる。

    口蓋扁桃や舌根に発生する中咽頭癌では,高リスク型ヒトパピローマウイルス(HPV),特にタイプ16の感染も原因となる。

    HPVの感染リスクは,性的パートナーの数が多いほど,特にオーラルセックスのパートナーの数が多いほど増大する。

    HPV陽性中咽頭癌の数は増加傾向にあり,中咽頭癌の約半数を占める。

    HPV陽性中咽頭癌と,喫煙・飲酒で発生するHPV陰性中咽頭癌および下咽頭癌の間で臨床像が大きく異なる()。

    18_60_咽頭癌(中・下咽頭癌)

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    嚥下時違和感あるいは嚥下時痛:局在の明確な嚥下時の症状を訴える。

    嗄声:解剖学的に下咽頭は喉頭に隣接しており,下咽頭癌は容易に喉頭へ進展する。その結果,声帯運動が障害され嗄声をきたす。

    呼吸困難:下咽頭癌が喉頭へ進展し,気道狭窄をきたすと呼吸困難が生じる。

    構音障害:中咽頭癌が隣接する舌へ進展し,舌運動が障害されると構音障害をきたす。

    開口障害:中咽頭癌が内側翼突筋へ浸潤すると開口障害をきたす。

    頸部腫瘤:頸部リンパ節転移が高率にみられる。

    【検査所見】

    咽喉頭内視鏡検査()やCT,MRI,FDG-PETなどの画像検査により,診断は比較的容易である。

    18_60_咽頭癌(中・下咽頭癌)

    食道癌が重複することが多く,上部消化管内視鏡検査は必須である。

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