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薬剤性難聴

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
池田勝久 (順天堂大学耳鼻咽喉科学教室主任教授)
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  • ■疾患メモ

    治療薬によって内耳に機能的および形態学的な変化を生じることを耳毒性という。その結果として起こった難聴を薬物性難聴と呼称する。

    最も頻度が高く臨床的に使用される薬物は,アミノ配糖体系抗菌薬,プラチナ製剤による抗癌剤,サリチル酸,ループ利尿薬,抗マラリア薬,マクロライド系抗菌薬などである。

    プラチナ製剤の抗癌剤の耳毒性は,小児と高齢者において感受性が高いことが知られている。5歳以下の小児では最も難聴の危険が高くなり,シスプラチンの累積投与量400mg/m2で5歳以下の40%,15~20歳で5%の危険率で中等度以上の難聴が発症することが報告されており,慎重な投与が望まれる1)

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    一般的に,初発症状は耳鳴,耳閉感,難聴である。

    アミノ配糖体系抗菌薬ではふらつきや浮遊感を訴えるが,回転性のめまいは少ない。

    サリチル酸,抗マラリア薬は大量投与によって,耳鳴,難聴,めまいを訴えることがある。

    エリスロマイシンは大量の投与で難聴が発症したという報告があるが,常用量では報告はない。

    ループ利尿薬は一過性と永久性の耳鳴や難聴の場合がある。

    【検査所見】

    オージオグラム上では,アミノ配糖体系抗菌薬,プラチナ製剤は高音域から難聴が始まって中音域へと進行し,多くは両耳対称性の感音難聴で,いったん固定されると聴力障害は非可逆性である。サリチル酸,抗マラリア薬,マクロライド系抗菌薬は高音障害型または水平型の感音難聴で,投与を中止すると聴力は回復することがある。

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