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音響外傷・騒音性難聴

登録日:
2017-06-16
最終更新日:
2017-07-07
和田哲郎 (筑波大学医学医療系耳鼻咽喉科学准教授)
原 晃 (筑波大学医学医療系系長)
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  • ■疾患メモ

    一定レベルを超える大きな音は内耳(蝸牛)障害をきたす。きわめて強大な音によって急性に起こった音響性聴器障害が音響外傷で,それより低いレベルだが長期間曝露されることによって慢性に起こったのが騒音性難聴である。

    騒音性難聴は主として職業性の騒音曝露によって起こる職業性疾病である。受傷性は個人差が大きく,同程度の音負荷でも障害の起こり方は一定ではない。強大音曝露は予測できることが多く,可能な限り障害をきたすレベルの強大音を避ける注意が必要である。

    ■代表的症状・検査所見

    1)音響外傷

    【症状】

    強大音にさらされた直後から耳鳴,耳閉感,難聴が生じる。

    耳の違和感のみを訴え,難聴の自覚は乏しいこともある。

    【検査所見】

    感音難聴(気導ならびに骨導聴力が障害され,A-B gapを認めない)を呈する。

    補充現象が陽性となることが多く,大きな音は逆に大きく響いて聞こえる。

    聴力検査:高音障害型,低音障害型,水平型,dip型,聾型など,どのような聴力型の難聴も起こりうる。

    難聴の程度も様々だが,難聴が高度であるほど一般に回復が不良である。

    2)騒音性難聴

    【症状】

    高音域の難聴からゆっくり進行するために自覚症状が乏しい。

    聴き違いの増加や,電子音が聞こえないということで難聴に気づかれる。

    【検査所見】

    音響外傷と同様,感音難聴を呈する。

    また同様に補充現象が陽性となることが多く,大きな音は逆に大きく響いて聴こえる。

    初期には4kHz付近(3~6kHz)の,dip型の限局した聴力障害を認める()。

    18_23_音響外傷,騒音性難聴


    進行すると高音漸傾型となり,さらに進行すると会話に重要な中音域(0.5~2kHz)にも難聴が及ぶ。

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