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黄斑上膜,黄斑円孔

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
岸 章治 (前橋中央眼科院長)
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  • ■疾患メモ

    黄斑部では,硝子体の皮質とゲルが後部硝子体皮質前ポケットにより生理的に分離している。このため,硝子体皮質は線維膜として存在している。これに細胞増殖が加わったのが黄斑上膜であり,多くの場合,後部硝子体剥離(posterior vitreous detachment:PVD)を伴っている。ポケット後壁の硝子体皮質が収縮すると,弧が弦になろうとする前方へのベクトルが発生する。これが中心窩を慢性的に牽引することで黄斑円孔が生じる。

    黄斑上膜(黄斑前膜)は成人の約5%にみられる。変視症や大視症,視力低下が主訴である。好発年齢は60歳代である。

    黄斑円孔は高齢者の約0.02%に発症する。僚眼の発症頻度はPVDがないと約20%の高率である。中心暗点が主訴である。好発年齢は約65歳だが,近視眼では年齢が下がる。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    〈黄斑上膜〉

    多くの場合,無症状である。黄斑部にセロファン膜があり,その収縮により網膜血管の走行異常が生じる。中心窩周囲で上膜が収縮すると中心窩が円筒形に陥凹し,一見,黄斑円孔に見える。これが偽黄斑円孔で,黄斑上膜の亜型である。黄斑上膜の視力は初期には良好であるが,徐々に低下し変視症が進行する。アムスラーチャート(Amsler chart)で変視の程度を記録できる。

    〈黄斑円孔〉

    見ようとする対象の中心が見えない,人の顔の中心がつぶれて見える,などと訴える。中心窩に約0.3乳頭径の円孔が生じる。スリット光を投影すると,円孔部では途切れて見える。視力は0.7~0.1で,円孔が完成すると0.3以下のことが多い。

    【検査所見】

    〈黄斑上膜〉

    光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT):網膜表面に膜があり,網膜表層に波状の皺がみられる。中心窩はむしろ隆起している。視細胞内節外節接合部が中心窩でしばしば不鮮明になる。

    〈黄斑円孔〉

    OCT:ステージ1では中心窩周囲で硝子体皮質が剥離しているが,中心窩では接着している。中心窩は硝子体牽引により隆起し,嚢胞や網膜剥離が生じる。さらに進むと視細胞層の離開(外層円孔)が生じる。ステージ2では網膜表層が弁状に剥離し,三日月状の網膜裂隙が生じる。弁の先端に硝子体皮質が接着している。ステージ3は全層円孔で,弁が蓋となって円孔前方に遊離する。蓋は円孔のわずか前方に剥離した硝子体皮質に接着している。PVDは黄斑周囲で限局性である。ステージ4は視神経乳頭でも硝子体剥離が生じ,完全PVDとなる。

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