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加齢黄斑変性

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-24
吉村長久 (医学研究所北野病院院長)
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  • ■疾患メモ

    加齢黄斑変性は,加齢を最大のリスクファクターとして黄斑部に発症する網膜変性疾患である。前駆病変であるドルーゼン(網膜色素上皮の加齢変化)や網膜色素上皮色素異常があるが,視機能障害を伴わない早期の症例(早期加齢黄斑変性あるいは加齢黄斑症;前駆病変)と,中心窩に変性を起こし重篤な視機能障害を起こす加齢黄斑変性(後期加齢黄斑変性)がある。両者は独立した疾患ではなく連続した疾患スペクトラムにあり,単に加齢黄斑変性と言えば,後期加齢黄斑変性を指すことが一般的である。

    後期加齢黄斑変性は,脈絡膜新生血管を伴う滲出型加齢黄斑変性と脈絡膜新生血管のない萎縮型加齢黄斑変性に大別される。日本人の50歳以上の約1%,約70万人が後期加齢黄斑変性に罹患しているとされている。日本人には滲出型加齢黄斑変性が多く,萎縮型は疾患頻度が低い。早期加齢黄斑変性は,視機能障害を伴う加齢黄斑変性の10倍以上の有病率である。

    日本人の滲出型加齢黄斑変性には,ポリープ状脈絡膜血管症と呼ばれるサブタイプが多く,治療に特別の注意を要するとの考え方がある。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    変視症,歪視症,中心暗点が初発症状であることが多い。進行すると高度の視力低下をきたす。滲出型は一般に進行が速く,萎縮型は緩徐であることが多い。

    両眼同時発症は比較的稀である。

    【検査所見】

    〈滲出型〉

    眼底にドルーゼン,網膜色素上皮剥離,網膜出血,硬性白斑などを認める。

    蛍光眼底造影検査:脈絡膜新生血管による過蛍光病巣を検出する。

    インドシアニングリーン蛍光眼底造影検査(indocyanine green angiography:IA):脈絡膜新生血管を直接検出できる。

    光干渉断層計検査(optical coherence tomography:OCT):網膜色素上皮剥離,脈絡膜新生血管を認める。

    〈萎縮型〉

    脈絡膜血管を透見できる円形萎縮病巣を黄斑部に認める。

    造影検査:脈絡膜新生血管を認めることはない。

    光干渉断層計検査:黄斑部網膜の菲薄化,網膜外層障害を認める。

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