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閉塞隅角緑内障

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-24
坂田 礼 (東京大学医学部附属病院眼科)
相原 一 (東京大学医学部附属病院眼科教授)
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  • ■疾患メモ

    原発閉塞隅角緑内障は,世界で約1500万人が罹患していると推定され,わが国での40歳以上の罹患率は0.6%(CI:0.4~0.9%,多治見スタディ)1),2.2%(CI:1.8~2.7%,久米島スタディ)2)となっている。

    原発閉塞隅角緑内障は,隅角構造(虹彩と線維柱帯間の接触)と緑内障性視神経症(glaucomatous optic neuropathy:GON)の有無から,①原発閉塞隅角症疑い(primary angle closure suspect:PACS),②原発閉塞隅角症(primary angle closure:PAC),③原発閉塞隅角緑内障(primary angle closure glaucoma:PACG)の3つに分類される3)

    5年間の自然経過で,開放隅角眼の20.4%がPACSへ,PACSの22%がPACへ,PACの28.5%がPACGへとそれぞれ進行する,と報告がある4)~6)gt;。

    急性原発閉塞隅角症(acute PAC:APAC)とは,急性緑内障発作のことである。

    隅角閉塞機序の分類では,①相対的瞳孔ブロック,②プラトー虹彩,③水晶体因子,④毛様体因子の4つに分類される。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    慢性の閉塞隅角緑内障は,開放隅角緑内障と同様に,初期の自覚症状はほとんどない。眼科での精査(眼圧測定,視野検査,画像検査など)を行って,初めて病気が明らかになる場合が多い。

    緑内障の病期が進むにつれて,見えづらいという自覚症状がはっきりしてくるが,この時点で,すでに進行した視野障害を有している。

    急性原発閉塞隅角症(APAC)は,急激な眼痛,吐き気,霧視などを自覚するため,緊急で眼科へ受診する場合がほとんどである。

    【検査所見】

    PACS:機能的隅角閉塞が起こりうる状態であり,隅角鏡検査で後部線維柱帯が3象限(270°)以上にわたって見えないが,眼圧上昇や周辺部虹彩前癒着がなく,GONは生じていない状態である。

    PAC:器質的あるいは機能的隅角閉塞があり,隅角鏡検査で後部線維柱帯が3象限(270°)以上にわたって見えず,眼圧上昇や周辺部虹彩前癒着を認めるが,GONは生じていない状態である。

    PACG:器質的あるいは機能的隅角閉塞があり,隅角鏡検査で後部線維柱帯が3象限(270°)以上にわたって見えず,眼圧上昇や周辺部虹彩前癒着を認め,GONを生じている状態である。

    APAC:眼痛,嘔気,嘔吐,光の輪が見える霧視が出現し,結膜充血,角膜上皮浮腫,中等度散瞳,浅前房,眼圧上昇のうち3つ以上が認められる状態である。

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