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弱視

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-24
仁科幸子 (国立成育医療研究センタ-感覚器・形態外科部眼科)
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  • ■疾患メモ

    弱視とは,視覚の発達期(感受性期間,0~8歳頃)において,視性刺激遮断あるいは異常な両眼相互作用(斜視や屈折異常)によって中枢へのシナプス形成が阻害されて起こる片眼または両眼の視力不良で,眼科的検査で器質的病変を認めず,適切な症例は予防や治療が可能である。

    弱視の有病率は1~5%で,小児や若年者の視覚障害の原因として頻度の高い疾患である。

    感受性期間内に発見されれば大部分は治療が奏効して視力が向上するが,放置されると生涯にわたる障害をきたす。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    弱視は眼鏡やコンタクトレンズでは矯正できない視力不良であり,固視異常,読みわけ困難,眼球運動・瞳孔運動の異常,空間周波数特性の異常,両眼視機能異常など様々な視機能障害を伴う。

    原因によって,①形態覚遮断弱視,②斜視弱視,③微小角斜視弱視,④不同視弱視,⑤非正視弱視に分類され,①が最も重症である。①は片眼または両眼性,②~④は片眼性,⑤は両眼性である()。

    17_05_弱視

    形態覚遮断弱視が成立すると,片眼性では続発性斜視,両眼性では眼振や異常眼球運動を生じる。

    【検査所見】

    視力検査(屈折矯正下)で,片眼性の場合は健眼の視力に比して,両眼性の場合は年齢に応じた正常視力に比して,1オクターブ(視力比2:1)より大きな差の視力低下がみられた場合,あるいは視力差が2段階以上ある場合に弱視と診断する。

    乳幼児の定性的な視力評価法として,左右眼の固視状態の観察(中心固視で持続するか),片眼ずつ遮閉したときの嫌悪反応の観察,定量的な方法として,行動観察による視力検査である選択視(preferential looking:PL)法が用いられる。

    3歳以降はランドルト環を用いた自覚的視力検査が可能となるが,小児では読みわけ困難があるため単独視標を用いる。

    両眼視機能検査(近見立体視検査)で異常を認める。

    眼位検査(遮閉・非遮閉試験)や眼球運動検査によって原因となる斜視を検出する。微小角斜視の検出には4プリズム基底外方試験を用いる。

    屈折検査で原因となる屈折異常を検出する。小児は調節が強固であるため,精密検査には調節麻痺薬の点眼が必須である。1%シクロペントラート(サイプレジン®)または1%,0.5%,0.25%アトロピンを年齢,内斜視・全身疾患の有無によって使いわける。

    前眼部~眼底検査,画像検査等で器質的疾患を認めない。

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