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膀胱憩室

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-22
城武 卓 (埼玉医科大学国際医療センター泌尿器腫瘍科講師)
小山政史 (埼玉医科大学国際医療センター泌尿器腫瘍科教授)
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  • ■疾患メモ

    膀胱憩室は膀胱外に突出した部分のことを指す。組織学的特徴として,ほとんどが膀胱壁の筋層を欠いている。

    先天性と後天性に分類され,多くは後天性である。

    先天性憩室は10歳以下の男児に多くみられ,尿管口付近に存在(Hutch憩室)することが多く,高率に膀胱尿管逆流を併発する。

    後天性憩室は,成人では前立腺肥大症や神経因性膀胱,小児では後部尿道弁などの下部尿路障害に起因することが多い。

    憩室内の悪性腫瘍の発生率は,正常尿路上皮よりやや高いとされる。また,発見の遅れや憩室壁の筋層の欠如により進行癌になりやすく,厳重なフォローが必要である。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    典型的な症状はない。

    先天性憩室では膀胱尿管逆流による尿路感染症状で発見されることがある。

    後天性憩室では憩室内の尿停滞によって残尿感,下腹部膨満感,二段排尿,さらには尿路感染症状などを認めることもあるが,下部尿路機能障害における下部尿路症状と類似しており判別が困難な症例も多い。

    【検査所見】

    尿検査は定性・沈渣により膿尿,血尿の有無を確認し,悪性腫瘍の鑑別のため尿細胞診も必要である。

    排尿時膀胱尿道造影(voiding cystourethrogram:VCUG)は有用であり,憩室内の残尿や膀胱尿管逆流を同定することができる。

    軟性膀胱鏡検査では下部尿路閉塞や膀胱内の肉柱形成の有無を確認し,また憩室内の結石や腫瘍性病変などを観察することが可能である。

    CTやMRIでは憩室の大きさや数,結石や腫瘍性病変の有無,さらに憩室と周囲臓器との関係を確認できる。

    下部尿路機能障害が疑われる場合は,尿流動態検査なども追加し精査すべきである。悪性腫瘍が示唆されたら,それに準じた画像検査や治療が必要となる。

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