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大腿骨頭壊死症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
菅野伸彦 (大阪大学大学院医学系研究科運動器医工学治療学寄附講座教授)
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  • ■疾患メモ

    骨壊死は,骨の阻血により壊死が引き起こされる病気で,大きく2つに分類される1)

    ①阻血の原因が明らかな二次性(続発性)骨壊死症:外傷(大腿骨頸部骨折,外傷性股関節脱臼),骨盤部放射線照射,減圧症など。

    ②骨の阻血のメカニズムが明らかでない特発性骨壊死症。

    大腿骨頭が骨壊死好発部位であるが,経口ステロイド薬投与歴や習慣飲酒歴のある場合,大腿骨顆部や脛骨近位(膝),上腕骨頭(肩)などにも多発性に発生することがある。

    全身性ステロイド薬投与や習慣飲酒は,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE),喫煙,血液凝固異常とともに大腿骨頭壊死症の発生関連因子であるが,ステロイド薬投与が必要となる背景疾患や免疫反応なども骨の阻血原因の可能性があるため,特発性大腿骨頭壊死症(idiopathic osteonecrosis of the femoral head:IONFH)と呼ばれる。

    現在,厚生労働省の指定難病である。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    骨壊死発生直後は無症状である。壊死骨に対する修復反応で,壊死骨の脆弱性が高まると大腿骨頭関節面の圧潰を生じ,臀部から鼠径部に痛みを生じる。時に大腿部痛や膝痛を訴えることもある。荷重時に痛みが強く,免荷や安静にて改善する。

    関節圧潰が進行すると,股関節の可動域制限や拘縮,跛行が顕著となる。

    【検査所見】

    〈stage 1〉

    単純X線両股関節正面およびラウエンシュタイン像(大腿骨頸部の側面像)が診断の基本であるが,骨壊死発生早期には壊死領域周囲に修復線維組織を伴った反応性界面は,X線検査ではとらえられない。

    〈stage 2〉

    MRIにより,骨壊死領域辺縁の修復反応は,T1強調画像における帯状低信号像(band-like pattern)としてみられる。修復過程が進行すると壊死領域への血管のさらなる侵入が起こり,壊死骨の吸収と新生骨形成によりX線学的にも帯状硬化像や嚢腫様透亮像などの異常所見を呈するようになる。骨頭の圧潰はない。

    〈stage 3〉

    壊死骨の吸収により骨強度が低下し,軟骨下骨折や関節面の圧潰を起こすと,X線像で明確に特異的所見としてとらえられる。圧潰の進行とともに疼痛や関節機能障害は顕著となり,圧潰が3mm以上のstage 3Bになると,関節温存治療は難しくなる。

    圧潰が3mm未満のstage 3Aでは関節温存治療が奏功する可能性がある。

    〈stage 4〉

    関節の圧潰は最終的に関節軟骨の変性を引き起こし,二次性変形性関節症へと移行する。

    骨壊死に特徴的な血液・尿検査はないが,感染や他の関節炎を鑑別するために参照する。

    【診断】

    厚生労働省の指定難病で使用されている日本整形外科学会認定の診断基準を用いる()。また,厚生労働省特発性大腿骨頭壊死症研究班の病型分類()により,予後判定と治療法選択を行う2)

    15_40_大腿骨頭壊死症

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